ブログ

【都議会】「気候変動に対する非常事態宣言を求める請願」を継続審査=塩漬けに

 世界では欧州議会を含む1254自治体で、日本でも壱岐市、鎌倉市議会、白馬村、長野県、大木町で気候非常事態が宣言されました。

 東京都議会にも、グレタ・トゥンベリさんのアクションや発信に触発されて世界に広がった「Fridays for Future」の東京のみなさんが、「気候変動に対する非常事態宣言を求める請願」を提出しました。全国から5,522名の署名も寄せられましたが(受付署名数は4957名)、11月29日(金)の環境・建設委員会で継続審査になってしまいました。小金井市議会ではていねいに審査するための継続審査というケースも多いのですが、都議会では継続審査イコール塩漬け・棚上げということなのだそうで残念です。

 委員会では、都民ファーストと公明党から、”小池知事は5月に、2050年にCO2実質ゼロに貢献する「ゼロエミッション東京宣言」を発表し、その具体化にむけた「ゼロエミッション東京戦略」を12月中に策定予定なのでそれで十分”との見解表明があり(当局からも同趣旨の発言があり)、共産党は採択、立憲民主党・民主クラブは趣旨採択を主張しましたが、多数意見で継続審査となりました。

 10月に都の職員による気候対策の勉強会に参加しました。たくさんのメニューが紹介されたので、「それらの事業によるCO2削減実績や目標は?」と質問したら、算出もしていないとのことでした。それではゼロエミッションは絵に描いた餅です。

 「ゼロエミッション東京戦略」は12月末ギリギリに発表になるようです。どれだけ具体的な内容なのか、気候非常事態宣言に相当するものなのか、しっかりチェックが必要です。

 

○「ゼロエミッション東京宣言」http://www.kankyo.metro.tokyo.jp/policy_others/zeroemission_tokyo/index.html

○「ゼロエミッション東京戦略」の策定 2019.6.5資料 http://www.kankyo.metro.tokyo.jp/climate/own_efforts/zero_emi_kaigi.files/shiryou1.pdf

 

*都議会ではこの9月議会から、すべての常任委員会のインターネット中継を始めました。
▼気候非常事態宣言の請願を審査した環境・建設委員会はこちらでご覧になれます。
https://metro-tokyo.stream.jfit.co.jp/?tpl=play_vod&inquiry_id=78

 


 

気候変動に対する非常事態宣言を求める請願

 

 2019 年9 月13 日提出

東京都議会議長 尾崎大介 殿

Fridays for Future Tokyo 代表 井上寛人

<願意>

東京都において気候非常事態を宣言していただきたい(Climate Emergency Declaration,CED)。

<理由>
 東京都において、小池百合子都知事を筆頭に、「2050 年CO2 排出量実質ゼロ目標」を宣言されたことは、国に先んじて気候変動の影響の甚大さを認識し、政策に反映する試みの端緒として大いに歓迎します。しかし、一方で、ゼロ目標に応じた諸政策の妥当性、緊急性という観点において関連資料を一見すると、宣言と政策との間の乖離が見出されます。そこで、より一層の改善を求める必要があると判断し、以下にその内容を示します。

 IPCC の1.5℃特別報告書によれば、1.5℃ターゲット遵守には2030 年までに2010 年水準の正味CO2 排出量を45%削減した上で、さらに2050 年頃までに、その排出量自体をゼロにする必要があると述べられています。この数値と、冊子「環境先進都市・東京に向けて~CREATINGA SUSTAINABLE CITY~」の中の数値を照合しますと、温室効果ガスの2030 年目標は2000 年比で30%削減に留まっており、2050 年CO2 排出量ゼロを見据えた目標に合致しているとは言い難いです。よって、現在の数値目標を見直し科学的見地に基づいた、段階的かつ具体的な目標の提示が求められます。

 また現在、世界では既に、国や都市、地方政府などの行政機関が気候変動の危機について非常事態宣言(CED)を次々と発表しています。それにより、宣言に見合う政策立案、キャンペーンの実施を促し、気候変動を人類の危機として認め、緊急性をもって対処する必要性を市民に伝えています。2019 年8 月31 日時点で、その数は18 カ国から985 の地方政府・自治体(住民総数約2 億1200 万人)にまで及んでいます。一方、日本国内では現在(2019 年8 月31 日時点)、宣言を表明した自治体はありません。

 このように、世界では気候変動の危機を前にして、前例のない規模の変革が実現されるべきとの認識が共有されつつあります。そんな中、日本では、国に先んじて首都である東京都が2050 年ゼロ目標を宣言したとはいえ、その内実は明確なメッセージであるとは言い難く、広く都民、そして日本国民に向けて気候変動による人類の生存の危機を訴えるためには、一刻も早い気候非常事態の宣言が求められて然るべきです。東京都環境局にて公表されている「ゼロエミッション東京の実現に向けて」(以下、「宣言文」)には、以下のような一文があります。

“気候変動の影響の甚大さと対策の緊急性が改めて浮き彫りになった今、世界は、かつてない変革が求められる「パラダイムシフト」を迎えています。”

 甚大さ、緊急性、かつてない変革。気候非常事態を宣言することは、これら全てを都民、そして日本国民に素早く訴えることができる現時点で最適な意思表示ではないでしょうか。そして、2050 年ゼロ目標宣言をした東京都には、その宣言を行う責任があるのではないでしょうか。

 気候危機の象徴的存在ともいえる、16 歳の環境活動家グレタ・トゥーンベリは、警告しています。

“私たちは、現代社会のあらゆる側面を変えなければいけません。あなたの二酸化炭素排出量が多ければ多いほど、道徳的義務は大きいのです。属する組織が大きければ大きいほど、あなたの責任は重いのです。”

 東京という大都市が抱える温室効果ガス排出の責任は、深刻なものです。私たちは、その責任に見合うだけの行動を東京都に求めます。