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【報告】「ALLYアライになりたい」トークイベント開催しました

(報告 岡田ちひろ)
小金井市パートナーシップ宣誓制度スタート1周年&「ALLYアライになりたい わたしが出会ったLGBTQ+の人たち」出版記念トークイベントを2021年10月10日に開催しました。
 
 チェンジ東京!小金井の会事務所とオンラインミーティングを繋ぎ市外他府県からと広く参加者が集まりました。
 

「ALLYアライになりたい わたしが出会ったRGBTQ+の人たち」(かもがわ出版)著者 小島あゆみさん

ALLY(アライ)という言葉をご存じでしょうか。

 ALLYアライは性的マイノリティの味方、支援者のことを表します。日本でのこの言葉はLGBTという言葉ほど知られていません。まだ日本ではあまり知られていない「ALLYアライ」について、「ALLYアライになりたい わたしが出会ったRGBTQ+の人たち」の著者小島あゆみさんをお招きし、多様性を認め、差別や偏見に敏感になり、違いを認め合う関係を作る、LGBTQ+ALLYアライについて知るきっかけを作れればとという思いを込め企画しました。

  2020年10月20日「パートナーシップ宣誓制度」が小金井市で開始され、まもなく1年になります。「ALLYアライになりたい わたしが出会ったRGBTQ+の人たち」の刊行が記念すべき「パートナーシップ宣誓制度」1周年に近いタイミングでもあり、小金井市から東京から多様性を尊重する社会を目指していきたいという思いを込め、ちょっと長いタイトルのトークイベントが生まれたのでした。

 

若林苗子さん(多様な性を尊重する小金井の会)

小金井市パートナーシップ宣誓制度のこれまで
 タイトルの始まりにある「小金井市パートナーシップ宣誓制度のこれまで」をスライドを用いて紹介しました。
2018年7月
新潮45(2018年8月号・発売7月)で杉田水脈衆議院議員(自民党)は、「『LGBT』支援の度が過ぎる」、「LGBTのカップルのために税金を使うことに賛同が得られるものでしょうか。彼ら彼女らは子供を作らない、つまり『生産性』がないのです。」という、性的少数者たちの人権を無視した差別的な主張をし、抗議運動が広がりました。
2018年10月7日
「市民自治こがねい」が衆議院議員、尾辻かな子さんを招いてイベント「アクション!多様性を尊重する社会を作ろう」開催。その後「多様な性を尊重する小金井の会」スタートしました。

本日の進行役は漢人あきこ

2019年3月→9月
市議会に「多様な性を尊重する小金井の会」が「同性パートナーシップ制度」陳情提出。同年9月議会で採択。
2020年9月
6月16日から7月15日までに募集された「小金井市パートナーシップ宣誓の取扱いに関する要綱(案)」に対するパブリックコメントに書かれた意見と意見に対する市からの検討結果が発表されました。(意見提出数:14人・32件)
2020年10月20日
「パートナーシップ宣誓制度」スタート。そして1周年を迎えたのでした。
 
ALLY(アライ)になるきっかけ

会場には「ALLYになりたい わたしが出会ったRGBTQ+の人たち」のこじまなおこさんによる挿絵原画を展示

 「知らないことだらけ、LGBTQ+の意味もわからなかった」という小島さんが、高校留学で出会ったサンフランシスコの友人が「にじいろファミリー」(同性と結婚して子どもを育てるかそく)として生きる姿に惹かれてもっと知りたい!と話を聞き始めました。サンフランシスコと日本で、10組32名の方々から聞いた話を胸に、今感じていることを語りました。
 聞き手に若林苗子さん(「多様な性を尊重する小金井の会」メンバー)、進行役は漢人あきこで講演が始まりました。参加者は会場17人、Zoomに21人。
 「小金井市パートナーシップ宣誓制度が始まるまでのいきさつ」を若林さんからお話をしてもらったあとに、小島さんから本を書くきっかけとなった友人キャロルさんとかぞく(小島さんは、本の中でもあえて家父長制度のそれとはちがうという意味を込めて「かぞく」という書き方をしています。)のこと、2015年、2017年に小島さんがお連れ合いと二人の娘さんとかぞく旅行でサンフランシスを訪れ、キャロルさんかぞくに会いに行った際の写真や、LGBTQ+をマイノリティとは言わせない街サンフランシスコについてGLBT HISTORY MUSEUM(性的マイノリティ歴史博物館)のこと、米国のLGBT運動の歴史などもわかりやすいスライド資料を用いながら説明してもらいました。2015年に同性婚を認める法律が制定されたアメリカですが、州によって、LGBTQ+への考え方は異なり、また信仰する国や宗教によっては「同性愛者は罪人である」とされ当事者はもちろんかぞくでさえも迫害の対象となるという場合もあります。そういうところでは特に10代の自殺者が多いという結果も出ています。同性婚を認める法律が出てきても、それを認めたくない考え方も保守層にあり、性的マイノリティの人権を求める戦いはいまもなお続いているのです。
 
10人に1人はLGBTQ+
 「小島さんのまわりにはたまたまそういう友人がいたのね」と、身近に当事者の友人や知人がいない人にとっては、どこか別世界の話のように思うかもしれません。しかし、世界中に性的マイノリティの人たちは存在し、米国では少なくとも「10人に1人」と言われています。日本では「LGBTQ+調査2020」(電通)によると、人口の8.9%がLGBTQ+(100人に9人)という結果が出ています。
 10人に1人ってどれくらいの多さなのか。私の実感ですが私のこどもは生まれたときに8000人に1人という「母子間の血液型不適合」がわかり、緊急搬送や処置入院というものを経験しました。この経験をSNSで話したときに「うちもそうだった」という方に3人出会ったことがあります、私たち母子だけじゃないのね、と思いました。また、こどもたちの仲間でダウン症体質の友人が地域に3人います。ダウン症は1000人に1人と言われています。地域の仲間に存在しているという実感があります。左利きの人は10人に1人と言われています。友人やかぞくにいておかしくないという身近さです。LGBTQ+のひとたちはとても身近にいるのです。
 
会場とZoomをつないだ当事者、参加者の声
 「ALLYアライになりたい わたしが出会ったRGBTQ+の人たち」では小島さんがインタビューしたGBTQ+当事者のお話がたくさん載っています。会場にも本に登場した当事者の方が駆けつけてくださり、本を読んでの感想や伝えたいことなどお話をしていただきました。
 
Rさん「自分は性的少数者でマイノリティであり、結婚もできない、と自分のことしか見えなかったこともあったが、ストレートでもマイノリティはいて社会的に立場が弱い人は女性に多く、苦しんでいる人たちがいると感じるようになった。それを何とかできないかなと思いました。私は女性のALLYアライになりたいです。」
 
Kさん「私はゲイだけど子どものころからゲイであることで困ったことや悩んだことはなく、性的少数者として苦労してきた人とは違うけど私でいいのかなと思いながらインタビューを受けました。ALLYアライって?昔❝おこげ❞って言っていましたよ、ちょっと意味は違うかもしれないけど。ゲイはおかまって言われておかまにくっつくおこげ。レズビアンはおなべ。お友だちでいいんじゃないの?って思っていましたが小島さんの本を読んで我々当事者も勉強になりました。今は子どもたちが学校で性的少数者について教育を通じて理解をし始めています。お父さんお母さんなど大人に差別的な態度や発言があれば「いけないことだよ」って教えてくれる日がもう来ている。(代々木公園で毎年行われていた)「レインボープライド東京」も子連れがたくさん、あの方たちストレートがほとんどでしょうから、あの人たちこそALLYアライですね。LGBTQ+の人たちは身近にいると感じてくれるのはいいことです。テレビの中のマツコさんだけじゃないって」

会場には小島さんおすすめのLGBTQ+に関する書籍や関連団体のチラシも並びました。

 
 会場、Zoomからも参加者の発言をいただきました。
 
Yさん「私は神奈川県から今日は来ました。レズビアンです。住んでいる市にはパートナーシップ制度がなく要望するアクションをおこしました。制度は周辺市が次々に取り入れたことも後押しとなり、開始されました。しかし、パートナーシップ制度ではパートナーが病院に入院した際に病院によってはかぞくと見做さない対応をするとこもあるし、現制度ではそれは違法とはならず指導する権限もない。婚姻ではないので相続においても税の免除が適用されず、贈与扱いとなり贈与税が発生するので婚姻と現制度はまったく違うもので、カバーされていない。同性婚の法制化は、優遇をしてくれと言っているのではなく、マイナスをゼロにしてほしいと思っているのです。」
 
Zoom参加のHさん「地方の50年文化の違うところに住んでいる。LGBTという言葉そのものがレッテル張りにしかならない。レズビアン=18禁ポルノとしてしか人に響かない。レズビアンとは言わず性的少数者としか発言できない。そんなおじさんおばさん、東京でもまだいるのではないでしょうか。なので周囲に存在を示すことをやっている。カミングアウトはどんどんしたいが、❝アウティング❞ということも問題にしたい。レズビアンですか?と多数の面前でそうたずねることもアウティングになる。アウティングはだめ。」
 
聞き手 若林苗子さん「わたしにとって、女性解放=女が自分の意思で生きられる社会を作ることとLGBTQ解放は共に車の両輪のように大事なことです。今回「チェンジ東京!小金井の会事務所」とオンラインミーティングを繋ぎ、イベントが開かれたことはとても良かったと思います。現実には、性的少数者に対する無知から来る差別や偏見が根強く、自らのセクシュアリティを公にするのは困難です。でもこのようなイベントを通して、多様な性指向と性自認を持った人たちが、実は身近にいるのだということを知る一つのきっかけになったと思います。」
 
 
その後の参加者アンケートの回答より
  • 小島さんのお話は、LGBTQ+についての知識を得られてよかったです。 お話のあとの当事者の方々の発言を聞き、私も20年前に親しくしていたレズビアンの友人がおり、私もALLYアライだったと気が付きました。会場の参加者の発言(次は女性同士で生活を共にしたい?=同性愛ではない)が理解することの難しさを表していたように感じました。性的指向だけでなく女性であることが生きづらさの原因と感じた、という当事者の方には共感できました。気づきは多かったです。ありがとうございました。
  • 参加者の中の中高年の当事者の方のお話が印象的でした。今でこそ少しずつ理解が広まっていますが、これまで本当にご苦労されてきたのだな、と思うとともに、その方々の活動があってこその、今の動きなのだと思いました。後戻りすることなく、社会の理解が進むようにしていきたいと思います。
  • 今回、出版された「ALLYアライになりたい」を読んだ感想としまして、著者とホストシスターお互いの家族の交流がとても自然で、温かく素敵だなぁと感じました。また、自分らしく生きることは、時にとても大変なことですが、何よりも重要で優先すべきことであり、誰もがその権利があることを再認識しました。 今後の仕事に活かしていけたらと思います。
など多数ご感想をいただきました。
 地方での理解の差や教育のことなど課題は多くありますが、ひとりひとりが社会の不平等に声を上げること、自分ができることの積み重ねていくことによって「誰もが選択の自由を持てる社会」「誰にも平等なチャンスが与えられる社会」につながっていくということがこの本の中でも書かれています。マイノリティのひとたちが抱える問題を自分のこととして考える人が増えていくことは、共感力、想像力が備わり、多様性が柔軟性のある社会を作り、これからのさまざまな問題を乗り越える強みになっていくのだと思います。
 
 ALLYになりたい、誰もが自分らしく生きられる、誰にも平等な社会が実現されるためにも、自分自身をアップデートしていくためにも。
 
 Zoom音声に聞き苦しい点もあり、参加者の皆様には申し訳ありませんでした。今後の改善点としてまいります。