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【報告】グリーンな東京オープンセミナー第2回「東京の”教育”に言いたいこと」

報告:上野佳子

◆4月8日オープンセミナー「東京都の教育に言いたいこと」開催

ゲスト 前川喜平さん(元文部科学事務次官)
会場  宮地楽器ホール小ホール&Zoomオンラインミーティング

●気さくな前川さん
 開始30分程前にふらりと会場に現れた前川さん、楽屋も要りませんなどと本当に気さくなご様子で、元官僚のトップとは思えぬお人柄の方でした。

 簡単な打合せ時に東京都の教育についてはそんなに判りませんと仰っていましたがいざ講演が始まると次から次へと原稿も無く流暢にそして盛り沢山にお話してくださいました。

●国よりも風通しの悪い東京都教育委員会
 まず官僚時代に東京都の教育関係者と会う機会はあったが東京都は国よりもさらに風通しの悪いところである、教育長人事は官僚的であり上意下達な組織と。また都立学校の小中高一貫化の例などは残念ながらエリート教育に寄っていってしまったと都への批判を口にされ、また教育委員には山口かおりさんなど素晴らしい人もいると期待も話されていました。

●予算が付くということは大事
 コロナの中、進められていったGIGAスクール構想については、国からの予算がつけられたことに言及され、予算は本来なかなかつかない物なのでGIGAスクールのために大きな予算がついたことは良い事であると、我々ではあまり考えつかない視点から教育行政を語られるのをなるほどと思いました。学校はいつでも後まわしにされる、エアコン、トイレ、PC…。そして大人たちがひとり一台PCを持っているのだから子どもたちもPCを使っていった方が良いと自分はそう考えているとご自身の考えを述べられました。

●自由こそ価値がある
 その他インクルーシブ教育、朝鮮学校、夜間学校、スピーキングテストなど、お話は多岐にわたりましたが、とりわけ、道徳の教科化について強く違和感を語られていた印象です。道徳の検定教科書は個を潰す自己犠牲を求めるもので心配である、自由こそ価値がある、自由な教育は賢い市民が育ち、主権者が育つ。そしてゆとり教育が自ら考える子どもを育てるというようなお話もなさっていました。

 質問にも丁寧に答えられ、大幅に時間オーバーとなりましたが、盛りだくさんのお話に参加者からも熱気が感じられました。

●東京にも前川さんのような職員が?
 時間が押して早口となった漢人あきこさんのまとめのお話の中で、官僚に前川さんのような人がいたのだから東京都の職員にもきっとこんな人がいるのではないかと期待を語るのになるほど、漢人さんとそんな職員が出会うことが出来たら東京の教育ももっと良くなることだろうと思いました。

 

菅直人さん 五十嵐えりさん(都議) 坂井えつ子さん 水谷たかこさん 安田けいこさん(いずれも小金井市議)も参加されました。

 会場60人 オンライン40人の参加者がありました。会場には他県から駆けつけた方もおり、教育に関することを前川さんから色々お聞きしたい!という気持ちが溢れるようなセミナーとなりました。

 

◆参加者の感想より

◯前川さんのお話から、子どもの学ぶ権利を守るために出来ること、ボトムアップが必要と感じます。特に日本語ができないマイノリティ、6歳から15歳にまず日本語教育をする場が必要と強く感じました。 日本に住むすべての子どもたち、そして教師のためにも学校が変わる必要があります。平等に学べる社会を目指して、より多様性を受け入れる教育をする日本に変えて行きたいですね。 最後に、東京都の教育委員会の右傾化している中で、前川さんのような方がいると信じて活動されるという漢人さんの言葉が心に残りました。

◯「学校はスーツケースではなく、大きな風呂敷」、「民主主義は時間の掛かる面倒なもの」ということを私を含め多くの人の共通認識にしていかなければいけないのだろうと思いました。 心に残るお話をありがとうございました。

◯私は都民では無いのだが、東京都及びその他全国的な教育行政の問題点を的確に指摘されており、とても面白かった。また、時折笑いを誘う場面があった事も良かった。