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【記者会見】英語スピーキングテスト実施状況調査(アンケート)回答結果について

 本日夕方、都庁記者クラブにて、11/24に行われた「英語スピーキングテスト実施状況調査(アンケート)回答結果について」の記者会見を行いました。
 調査結果の概要報告に続き、入試改革を考える会代表の大内裕和さんからは、試験監督からの「不正」行為に関する内部告発の報告、当事者である保護者・教員からの問題点の指摘があり、記者のみなさんから多数の質問もいただきました。

 3年目にして、受託業者が変わって、一層問題が噴出していることが共有されました。にもかかわらず、11/29の都議会文教委員会の請願審査での教育委員会の答弁は相変わらず不誠実で問題を隠ぺいする姿勢に徹していました。
https://nws.stage.ac/metro-tokyo-stream/arcplayer.html?list=C01_3&id=1&lecno=3
 この英語スピーキングテストの結果を高校入試に活用するべきではありません。

<配布資料>
①「#ESAT-J実施状況調査2024」まとめ
https://kandoakiko.com/wp/wp-content/uploads/2024/12/ESAT-Jsiryo1_giren.pdf
② ESAT-Jの都立高入試活用の問題点(入試改革を考える会代表 大内裕和)
https://kandoakiko.com/wp/wp-content/uploads/2024/12/ESAT-Jsiryou2_ouchi.pdf
③ 英語スピーキングテスト(ESAT-J YEAR 3)について
https://kandoakiko.com/wp/wp-content/uploads/2024/12/ESAT-Jsiryo3.pdf

以下、資料①から「調査と回答の概要」抜粋(アンケート回答からの紹介は上記URL参照)


「#ESAT-J実施状況調査2024」まとめ

2024 年12月4日
入試改革を考える会
都立高校入試 英語スピーキングテストに反対する保護者の会
都立高校入試への英語スピーキングテスト導入の中止を求める会
中学校英語スピーキングテスト(ESAT-J)の都立高等学校の
入学者選抜への活用を中止するための都議会議員連盟


 11 月24日(日)に実施された、東京都教育委員会の「中学校英語スピーキングテスト(ESAT-J YEAR3)」の実施状況について、中学3年生をはじめとする試験の当事者を対象に行ったアンケート調査の結果をご報告します。この調査はESAT-J開始以来毎年行い、今年で3回目になります。
 ESAT-J YEAR 3は、今年度は43億円、6年間で210億円の巨額を投じる予定で、今年度からブリティッシュ・カウンシルにより実施運営されます(昨年度までは(株)ベネッセ・コーポレーション)。
 試験結果は都立高校入試に活用される予定です。
都教委は 24 日、テストの実施状況について「機器の不具合のために、試験終了時刻の遅延が一部の会場で発生した」と公表し、11月29日の都議会文教委員会では、「遅延が一部の会場で発生したものの、試験は適切に実施された」と述べました。
 しかしアンケート調査からは、「適切に実施」どころかこれまで以上にずさんな試験運営がされ受験生は多大な被害を受けたこと、都教委は事実を隠蔽していること、試験結果の入試活用など到底不可能な状況であることが明らかになりました。
 都教委が、このまま隠蔽をつづけ、不公平な結果の入試活用を強行することは、中学生、保護者、都民への裏切り行為に他なりません。都教委は、客観的事実とその原因を詳細に公表・謝罪し、試験結果の入試活用は中止することを強く求めるものです。

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【調査の概要】
・アンケート期間:11月24日(日)16時 ~ 11月30日(土)24時
・アンケート対象:中学校3年生や保護者、中学校教員、試験監督などESAT-J YEAR3に実際に関係した方
・調査方法:GoogleフォームによるアンケートをX(旧Twitter)で拡散し回答を募集

【回答の状況】
・回答総数は186件、うち6割が中学3年生(107件・58%)、3割が保護者(64件・34%)でした。
他に、試験運営関係者(試験監督など)9件、中学3年生の家族2件、都内中学校教員2件、塾講師1件、その他1件の回答を頂きました。
・試験会場名の記載のあった回答は151件、会場数は78会場でした(全会場数230)。


【回答の概要】

1、 待たされたあげく受験できず再試験となった生徒が大量に発生。
  他の生徒の解答が聞こえる状態で待機後に同じ試験を受けさせられた生徒も

 都教委が公表しているのは、機器の不具合により試験終了時刻が 2 時間程度遅れたことのみです。
しかし実際は、長時間待たされたあげく当日に受験できず12月15日に再受験するように言われた生徒が大量に生じたこと、さらに他の生徒の解答が丸聞こえの状態で待機させられその後同じ試験を受けさせられた生徒もいることが明らかになりました。そうした生徒がいる以上、試験結果を入試活用することはできません。
 後述のように、機器の不具合に試験監督はじめ運営側のミスが何重にも重なるずさんな状態です。
 また12月15日は、受験希望者向け説明会を行う都立高校や、都立高校入試(2月の学力試験)の模擬テストがあり、再受験によりそうした機会が一方的に奪われることへの怒りの声も届いています。

2、ずさんな試験運営により公平・公正さが損なわれ、受験生にも過度な負担

 「1」で示した会場では、運営側の対応が何重にも不適切で中学生への被害が拡大していますが、他の会場でも、試験監督のテスト開始の合図が適切でなく開始がすれた(ずれると周りの解答が聞こえやすくなり公平さが損なわれる)、合図の不備で再試験になったなどの証言がありました。
 試験監督が不足していた、東北や関西から来ている試験監督がいたなどの試験運営関係者の証言もあり、さらに、試験当日に試験監督を募集していた、きちんとした研修が行われなかったという情報も別ルートから寄せられています。
 試験監督による運営が不適切であることはこれまでも問題になってきましたが、改善されていません。1 日かぎりのアルバイトを大量に集め、入試にふさわしいレベルでの公平・公正な試験運営を行うことは難しく、行うべきでないと指摘せざるをえません。

3、 機器がスピーキングテストの実施に耐えうるものではない

(1)大量のタブレットの不具合発生は、あまりにもお粗末
 「1」で紹介したとおり、1つの会場で大量のタブレットの不具合が発生し、それが1会場にとどまりません。万全の準備をすべきところ、納品されたタブレットの動作の点検すらまともにしていなかった疑いがあります。「1」以外の会場でも、タブレット使用の途中に不具合が生じ、問題を途中まで聞いてしまったため12月に再試験とされたという証言がありました。

(2)ヘッドセットも相変わらず機能せず、試験の公平・公正性を確保できていない
 ヘッドセット(耳につける防音具)からの音漏れは初回のESAT-Jから繰り返し発生しているため、選択式の設問としたところ、69人(回答者の42%)が、ヘッドセットをつけても「まわりの生徒が(部分的にでも)何を言っているかもわかった」と回答しました。
 同時に今回は、解答中に流れるホワイトノイズが大きすぎて自分の声が聞き取れずなかったという声が多数寄せられ、25件に上りました(自由記述欄への記載件数)。批判を避けるため今回は、ノイズを大音量で流したものと推測されます。しかし自分の声が聞こえなくては上手く話すことはできません。何とか自分の声を聞きとろうと各受験生が大声になっていたという指摘もあり、悪循環です。
 さらにノイズが音に敏感な生徒に苦痛を与えており、人権への配慮が足りません。
 上述の通り、先に解答した生徒の声が聞こえる、ノイズ前後に周りの解答が聞こえるなどの証言は相変わらず多く、防音具を着けさせて狭い部屋で大人数を受験させるやり方では、公平・公正を保つことは現状では不可能です。

4、長時間拘束や昼食時間にかかる集合時間など、試験のスケジュールへの不満
 スピ―キングテストそのものは15分程度ですが、拘束時間は12:30~15:40と3時間に及びます。
移動も含めれば5、6時間かかり長すぎるとの意見が62件もありました。集合時間が昼食にかかる時間になっていることへの意見も寄せられました。
 受験生を前半後半に分け、問題漏えい防止のために拘束し続けることに対する不満、意見は、昨年、一昨年も多数寄せられており、仕方ないですませるべきではありません。

5、3回やっても改善できずむしろ悪化している構造的な問題が浮き彫りに。
 ESAT-Jの入試活用は中止しかない
 アンケートにより、当日に受験できず再試験となった生徒が大量に生じたことや、とても入試活用できない状態で受験させられた生徒がいたという、驚くべき状況が明らかになりました。都教委が「終了時刻の遅延」のみ公表し、これらの事実を隠蔽していることは許されません。
 入試に関わる試験でこれだけ深刻なトラブルがあれば当然、記者会見を開き、受験生、保護者、都民に詳細を公表・謝罪し、不公平な状況を是正する措置をとるべきです。「適切に行われた」と強弁するのは、行政としての倫理観や責任を放棄していると言わざるをえません。
 しかも、会場 Aのような大規模なトラブルについて、会場の試験監督のみで対応するはずがなく、トラブルに適切に対処できず拡大させている都教委の責任は重大です。
 今回の試験では、タブレットも、ヘッドセットも、試験監督の人数や質も、入試活用に求められる水準で確保できていないことが明らかになりました。これはブリティッシュ・カウンシルの契約不履行であり、都教委は契約解除などの毅然とした立場で臨まなければ、都民の税金を使う事への責任を果たせません。
 私たちは昨年、スピーキングテストの技術が大規模の一斉実施の入試に対応できるほど発展していないことや、試験監督や機器にコストがかかることから、テストを請け負う民間事業者が変更になったとしても問題は解決しないと指摘しました。そして、その犠牲になるのは生徒たちや試験の公平性・公正性だと主張しました。今年の結果はまさにそれを証明しています。
 ずさんな試験に対し、中学生も怒りの声をあげています。
 このことを真剣に受け止め、ESAT-Jの入試活用を中止することを、改めて強く求めます。