ブログを更新★【委員会報告】「建設局」事務事業質疑ー11/14環境・建設委員会
都議会では毎年秋、決算特別委員会による前年度の決算審査と、常任委員会での事務事業質疑(各局所管事業全般についての質疑)を行っています。
環境・建設委員会の事務事業質疑から、漢人の質問概要を報告します。
10/31の「環境局」に続き、11/14の「建設局」
録画はこちら(漢人は3:33:00から)
https://nws.stage.ac/metro-tokyo-stream/arcp(せlayer.html?list=C01_7&id=1&lecno=7
【1】 都市計画道路・小金井2路線
【2】 豪雨対策基本方針の改定を受けた、河川・流域治水とグリーンインフラ
【3】 生物多様性地域戦略
【4】 都立公園(生物多様性保全利用計画/バリアフリー日比谷公園プロジェクト)
【5】 街路樹(街路樹台帳データべス化/樹冠被覆率/神宮外苑イチョウ枝折れ)
*以下、質問原稿と答弁骨子です。実際の質問・答弁については録画をご覧ください。
*会議録検索アップまでには半年ほどかかります➡https://www.record.gikai.metro.tokyo.lg.jp/
【1】都市計画道路・小金井2路線について
第四次事業化計画で優先整備路線に選定された小金井3・4・1号線と3・4・11号線の「小金井2路線」は、小金井にとってかけがえのない“はけ”と野川の自然環境や生態系への重大な悪影響が懸念されます。そのため、優先整備路線選定時から、見直し・中止を求める市民の声が強く上がってきました。
市議会でも同主旨の東京都への「意見書」を多数提出してきました。小金井市長も、3000人の無作為の市民アンケートの結果を受け、知事に対して「市民の望まない都市計画道路はつくらせない」「市長が了解できない状況の事業化は進めないよう求める」とした要望書を提出してきました。
そして、 小金井市民は、2021年都議会議員選挙では「”はけ”と野川を壊す都市計画道路はいらない」を掲げた私・漢人あきこを選択し、2022年市長選においては、事業化の中止を公約とした現市長白井とおるを選択しました。小金井の民意は「都市計画道路」を望んでいません。
第四次事業化計画は2025年度末で期限を迎えます。すでに、都は、「新たな整備方針」策定に着手しています。
ここにきての小金井の民意に反する拙速な事業化は避けるべきです。「オープンハウスの開催」を経て、測量説明会、事業認可申請へと進むことを懸念します。
1 11/29、30、12/1に「小金井3・4・11号線」についてのオープンハウスを行い、未整備区間の「道路構造等の検討内容について」説明するとしていることについて伺います。
Q1 オープンハウスで説明するとされる道路構造の最適案は、橋梁案、トンネル案、掘割案のいずれになったのでしょうか。
➡道路建設部長答弁
○橋梁、掘り割り、地下等を比較検討し、令和4年度末に報告書として取りまとめ
○関係者と協議、検討を進め、最適案を取りまとめた
○最適案を明らかにし、意見交換を行うためのオープンハウスを開催する
○国分寺崖線や野川の地形的な条件等を踏まえ、橋梁案が最適だと考えている
橋梁案ということで、やっと、道路構造が明らかになりました。5年近く前の2020年・令和2年2月のオープンハウスで橋梁案の模型まで展示されました。ところが、それで決定かと思ったら、まだ決まっていないということでした。2022年・令和4年12月に「道路概略検討」報告書が納品されましたので、今度こそ明らかになるのかと思ったら、さらに精査が必要とのことで、2年もかかったというわけです。
Q2 「最適案」は、都が行ってきた各種の環境調査で示された生態系の保全、動植物、地下水などへの直接的、間接的影響を回避するためにどのような対策を取るのですか。また、その効果はどの程度のものと考えているのか伺います。
➡道路建設部長答弁
○現地の地形状況のほか周辺の動植物の生息、生育状況等を踏まえた検討が必要
○環境概況調査を実施し、自然環境等に配慮した道路構造等の検討を進めてきた
○橋梁案は国分寺崖線や野川などに対して土地の改変面積を最小限に抑えられる案であり、自然環境等に配慮した構造
○環境概況調査等の結果を基に、必要な保全対策等について、検討を推進
Q3 第四次事業化計画の期限まで1年数か月となり、「第四次」後の「新しい整備方針」の策定作業も始まっています。
このような時期に、「3・4・11号線の中止・見直し」を求める小金井の民意や、現在行われている小金井市の都市計画マスタープランに基づく検証作業を無視して、オープンハウスを行い、事業化申請への動きを強行することは、小金井市の自治を侵害するものです。
都市計画法や「都市計画運用指針」でも示されているように、都市計画事業において地元自治体の意向を踏まえることは当然のことです。都としても「事業に対する理解と協力が得られるよう、丁寧に対応」すると、この間、繰り返し答弁してきたはずです。
都と各市区町と共同で事業計画を立てるという基本的な枠組みからしても、いま必要なことは、自主的な検証に取り組む小金井市の意向を尊重し、検証作業に協力することです。そして、その結果も踏まえ、都と小金井市の間で、3・4・11号線の優先整備路線の見直しに向けて協議を行うことが必要ではないですか。見解を伺います。
➡道路建設部長答弁
○広域避難場所へのアクセス向上や生活道路への通過交通抑制による地域の安全性向上などに資する重要な路線、第四次事業化計画の優先整備路線に位置づけ
○小金井市が検証中であるは承知しているが、今回のオープンハウスは、検討してきた内容を市民の皆様に明らかにし、意見交換を行うために開催するもの
○引き続き、地元市や地域住民と意見交換を行うなど、丁寧に対応
オープンハウスを行ったら、それで速やかに次の手続きに進む、ということではないということですね。 「引き続き、地元市や地域住民と意見交換を行うなど、丁寧に対応」という、この間と同じ対応を継続するということが確認できました。
Q3-2 「引き続き、地元市や地域住民と意見交換を行うなど、丁寧に対応」との答弁ですが、その具体的な内容を伺います。
➡道路建設部長答弁
○建設局では、道路整備事業を実施する際、地元説明会を開催している
○説明会では、地元の方々の意見や質問に対し、都の考えを示すなど丁寧に対応している
○また、事業に対する個別の問合せにも適宜対応している
Q3-3 市の検証結果を受けて、市と協議をするべきと思いますが、いかがですか。
➡道路建設部長答弁
○市は、2路線の検証を行っており、来年3月までには検証結果を踏まえ総合的に判断し、その結果を都に伝える。その際、市の考えを伺う
まず、市の考えを聞く、ということですね。もちろん内容にもよりますが、「聞くだけ」ということはありませんよね。協議の場を持つことを求めておきます。
2 オープンハウス開催についての小金井市への説明について
Q4 オープンハウス開催についての小金井市への説明はどのように行われたのか伺います。その際にオープンハウスでの説明内容についても説明したのですか。
➡道路建設部長答弁
○10月28日に、小金井市役所にて、道路建設部長が小金井市長に説明
○開催する目的や開催日時、場所を説明。説明内容については、話していない
Q5 小金井市からは「市の検証」について説明報告はありましたか、また、当該路線の事業化について市からなんらかの要望は出されましたか。
➡道路建設部長答弁
○現在検証中であることは聞いたが、検証内容については聞いていない
○小金井市からは、11月11日に要請文が提出
○要請文には、2路線の検証を行っており、来年3月までには検証結果を踏まえ総合的に判断をすることや、その結果を速やかに都に伝えることから、配慮してほしいと記載
小金井市から要請文が提出されたとのことです。「都市計画道路の独自検証に関する要請について」という白井亨小金井市長名での文書ですね。白井市長は、ちょうど2年前の11月の市長選で、この優先整備2路線の事業化中止を公約に当選し、市議会では、繰り返し、都に対して中止の要望書を提出すると発言しています。今回の「市の検証」は、中止要望書の前段の手続きだと説明されています。
事業化中止を求める要望書は提出されていないわけですが、今回の要請文は現時点でそれに相当する重要な意味を持つものです。都としてはしっかりと重く受け止めていただくべきものと申し上げておきます。
3 情報開示について
Q6 2022年・令和4年12月の「道路概略検討」報告書について、開示請求をしましたが、多くが黒塗りの非開示で、肝心なところはわからない状態です。道路構造が決定したことによって、この報告書の非開示部分は解除されるということでよいでしょうか。
➡道路建設部長答弁
○道路概略検討の非開示部分は、東京都情報公開条例に基づき一部開示
○オープンハウスの開催後には全部開示
オープンハウス開催まで待つ必要はないと思います。
4 事業化に向けての手続きについて伺う。
Q7 今後、地元自治体が事業化に向けた手続きにおいて関与が可能な局面はあるのですか。
➡道路建設部長答弁
○小金井3・4・11 号線は東京都が施行する路線
○本路線の事業化の手続きにおいて、市が関わることはないが、今後とも地元市には丁寧に対応
法令等に定める手続きとしては、市が関わることはない、ということかと思いますが、地元自治体の意向を踏まえることは当然のことです。「丁寧に対応する」に含まれると受け止めたいと思います。
Q8 どのような条件が整うと「測量説明会」の開催となるのですか。また、「最適案」は「測量説明会」までにどのようは調査をし、どこまで精度が高められるのですか。
➡道路建設部長答弁
○測量説明会の開催の条件はない
○測量説明会の開催は決まっていない
○測量説明会の開催に寄らず、今後、地質調査など基礎的な調査を進め、道路構造物等の検討を深度化
Q9 「測量説明会」では、地権者に対し、どのような資料が示されるのですか。
➡道路建設部長答弁
○事業の概要や測量作業の進め方等を記載した資料
Q10 測量説明会から事業認可取得まで、標準的にどのくらいかかりますか。
➡道路建設部長答弁
○事業によって異なるが、測量説明会から事業認可までの期間は、2年程度
5 小金井3・4・1号線について
南北方向の3・4・11号線といっしょに優先整備路線に選定された東西方向の3・4・1号線については、事業化への手続きはほとんど進んでいないと認識しています。
Q11 現状と、事業化にむけての課題と困難性について伺います。
➡道路建設部長答弁
○第四次事業化計画の策定時、必要性を確認
○重要性、緊急性を考慮した上で、優先整備路線に選定
○国分寺崖線と縦断的に交差
○道路構造等の検討に当たって、課題が多いと認識
Q12 第四次事業化計画の期間内での事業着手の見通しはいかがですか。
➡道路建設部長答弁
○道路構造等の課題も多い
○今後、地形の状況や自然環境等の調査などを行う必要
建設局としては、事業着手に向けて仕事をするということになるのでしょうが、難しいということがよくわかっているのも、現場を持つ建設局ですよね。
3年前の都議選の際に、私は2路線とも中止、都民ファーストの現職の方は2路線とも推進でしたが、自民党公認・公明党推薦の方は3・4・11号線は推進でしたが、こちらの3・4・1号線は見直しを訴えていたことを申し添えておきます。
【2】 豪雨対策基本方針の改定を受けた、河川・流域治水とグリーンインフラについて
1.地下調節池について
豪雨対策の3つの柱は「河道整備」「調節池」「流域対策」ですが、この間、地下を中心とした大型調節池対策が強化されています。
Q1 昨年度の都の『予算案の概要』によれば、対策強化流域における事業中の調節池・分水路は9か所で、事業費総額は4300億円に上ります。中には、環七地下や石神井川上流地下のように、1000億円を超えるという超巨大プロジェクトも含まれています。
今年2024年に改訂された『未来の東京戦略』では、調節池の事業化目標を再設定し2030年度までの目標整備量を約150万㎥から200万㎥に引き上げたとのことです。
この引き上げ分を含め、2030年度までに事業化する調節池の総個所数と総事業費はどのくらいになるでしょうか。伺います。
➡河川部長答弁
〇2030年度までに新たに事業化する調節池の総箇所数や総事業費については、現在、検討中
Q2 『未来の東京戦略』では、地下河川の計画が掲げられました。この地下河川は何のために整備されるのでしょうか。調節池の一つなのでしょうか。地下河川の検討状況、総事業費の見込みとあわせて伺います。
➡河川部長答弁
〇令和5年12月に策定した「気候変動を踏まえた河川施設のあり方」において、時間50ミリを超える部分の対策は、調節池等により対応することを基本とし、地下トンネル式調節池を活用した新たな整備手法として、線状降水帯のような数時間降り続く豪雨にも効果を発揮する地下河川を位置付け
〇環七地下広域調節池等を連結し、海までつなぐ地下河川の事業化に向けた取組に今年度から着手したところであり、総事業費は未定
調節池としての機能も持つとはいえ、基本は調節池に流れ込んだ雨水を海に配水するための施設であり、雨水の貯留や再利用、適正な水循環の確保とは真逆の思想です。
総事業費は未定とのことですが、膨大な経費も予想されます。慎重な検討を求めます。
Q3 2023(令和5)年度改定の豪雨対策基本方針等で、目標降雨量を75mmから85mmに引き上げました。旧来は75mm、そのうち河道で50mm、調節池で15mm、流域対策で10mm。今回、上乗せされた10mm分は調節池と流域対策で担うということですが、対策別配分を伺います。
➡河川部長答弁
〇令和5年12月に改定した東京都豪雨対策基本方針において、河川整備における時間50ミリを超える部分の対策は、これまでと同様に調節池等により対応することを基本とし、河川・下水・流域対策等の様々な対策を組み合わせて、取組を推進することで目標を達成
2.流域対策とグリーンインフラについて
膨大な経費を要し、地域における水循環の回復とは相いれない調節池は、グレーインフラの象徴です。思い切って流域対策の強化に踏み込むこと、流域対策の現状を検証し、グリーンインフラの思想に立った対策へと抜本的に見直すべきです。
事業概要の「都市型水害対策」の項目には、公園、学校、集合住宅への雨水貯留浸透施設の設置や、住宅等への各戸貯留施設の設置、道路における透水性舗装や浸透マスの設置など、流域対策の積極的推進の記述があります。
最近の豪雨は時間雨量こそ大きいものの局地性が高く、また、河道からの溢水よりも内水氾濫さらには雨水の滞留による被害が大きいという特徴があります。これらは、まさに流域対策こそが効果的ではないでしょうか。
Q4 流域対策は進んでいるのでしょうか。流域対策がしっかりと進んでいかなければ河川の負荷は大きく膨らみ、治水計画は破綻しかねません。計画目標に対する進捗状況を伺います。
➡河川部長答弁
〇東京都豪雨対策基本方針によると、対策強化流域における目標対策量は約654万立米であり、令和3年度末時点での実績は約432万立米
Q5 道路における透水性舗装について、都道における整備状況と区市町村道への働きかけについて伺います。
➡道路保全担当部長
○都道については、総合治水対策の一環として、昭和五十八年度から強度上の問題が生じない歩道を対象に、透水性舗装の導入を進めてきており、車の乗り入れ部などを除き、透水性舗装を整備
○また、東京都総合治水対策協議会において、都が導入している透水性舗装の構造等を共有するなど、区市町村における透水性舗装の普及を促進
先ほど、事業概要の「都市型水害対策」には、道路における透水性舗装についても、流域対策として積極的推進と掲げているのですが、今の答弁では、すでに都道についてはやれるところは実施済み、限界に達しているとのことです。一方市区町村道については、普及状況の把握もできていないようです。流域対策として積極的推進と掲げているのに、とても心もとない状況だということがわかりました。
流域対策の中で最もボリュームが大きいのは、開発に伴って義務付けられる貯留施設の整備です。それ自体の意義を否定するものではありませんが、開発によって失われる保水・浸透能力の一部をリカバーするに過ぎません。他方で、とくに23区の周辺部や市部では、多様な自然地、農地が残されているエリアも少なくありません。それらを適切・確実に保全することによって、流出係数は抑制され、河川や下水への負荷は小さくなるはずです。
Q6 そこで伺います。現にある緑地、畑等の保水・浸透能力を評価し保全すること、いわゆるグリーンインフラを治水の柱の一つとし、 グリーンインフラを治水対策の計画体系の中にしっかり位置付けるべきではないでしょうか。河川もその一部をなす今後の流域治水の在り方として、認識を伺います。
➡河川部長答弁
〇激甚化・頻発化する豪雨から都民の命と暮らしを守り、地域の治水安全度を早期に高めるためには、護岸や調節池等の整備が重要
〇グリーンインフラは、東京都豪雨対策基本方針において目標を超える降雨に対応する、もしもの備えに位置付け
東京都豪雨対策基本方針には、そのように位置づけられているわけですが、治水対策の計画体系の中に、もっと積極的に位置づけることが必要です。ぜひご検討ください。
3.善福寺川上流地下調節池について
この項目での最後の質問は、善福寺川上流調節池計画です。この間、本委員会での陳情審査もしてきましたが、巨大地下トンネル工事によって、20数軒の立ち退きや自然環境の破壊、子どもたちの遊び場の喪失などを招くことから、反対、見直しを求める声が高い状態が続いています。
Q7 そのような中で、9月初旬にオープンハウスが開催されました。その趣旨、参加人数、参加者からの主な意見を伺います。
➡河川部長答弁
○杉並区と共催で実施した善福寺川上流地下調節池事業のオープンハウスでは、設計の進捗を踏まえた施工方法や工程等に加えて、これまでの住民意見に対する検討状況、用地測量の一般的な事項等について説明
〇オープンハウスは9月初旬に3日間開催し、延べ約330名が来場
〇参加者からの意見として、公園の保全や安全な施工への要望、丁寧で分かりやすい説明との評価
Q8 事業認可に向けた見通しはどのように認識していますか。来年度、認可を申請する方向で準備を進めているのではないかと思いますがいかがですか。
➡河川部長答弁
○本年3月の都市計画決定を受け、速やかに事業認可を取得できるよう準備
Q9 都市計画決定についての意見照会に対する区長の回答は、「異議ありません」とはしつつ、住民の切実な声や今後の進め方について区の考え方を示し、「都市計画事業の実施に当たっては住民意見を十分に反映し、区と連携協力した進め方をお願いする」として、「住民への周知が不足し、疑問、懸念に応えておらず、手続が拙速であること」を指摘し、それを踏まえて、都市計画の決定を行うよう求めていました。
この杉並区の不本意な思いを抱きながら了解した経過を踏まえれば、安易に事業化せず、住民とともにその必要性に立ち返ってしっかりと検証・議論すべきと思いますが、いかがですか。
➡河川部長答弁
○本調節池の整備は、かねてから杉並区より強い要望を受けており、都市計画の変更については、区から異議なしとの回答を得て、本年3月に決定
○地元に対しては、これまでも、整備目的等について、様々な機会を捉え、丁寧に説明を行うとともに、説明資料やご意見は都のホームページで公開
○善福寺川では令和5年6月に溢水被害が生じており、今後も気候変動による降雨量の増加が見込まれることから、地域の治水安全度を早期に高めるため、本調節池の整備を推進
善福寺川流域住民のみなさんは治水の重要性を痛感したうえで、東京都の水害対策の計画段階から地域住民として参画し、グリーンインフラを含めたあらゆる選択肢を検討して行政と共に進めることが、真に有効な治水対策になると考えておられます。このような考えは、国土交通省が進める流域治水プロジェクトにおける「河川流域全体の関係者が協働する流域治水への転換を進めることが必要」とする方針にも合致するのではないでしょうか。
本計画を停止し、治水に必須の住民と行政との信頼関係を醸成するためにも、住民参画のもと、グリーンインフラも含めた治水対策へと見直すことを求めて、この質問を終わります。
【3】 生物多様性地域戦略について
1 事業概要「建設局が取り組むべき主な課題と対応」に掲載を
Q1 3回目の指摘です。事業概要の冒頭の「建設局の取り組むべき主な課題と対応」に「生物多様性地域戦略」の記載がありません。昨年度は、「ゼロエミッション東京戦略」について初めて掲載されました。 昨年策定された「東京都生物多様性地域戦略」の冒頭には、「気候危機の一層の深刻化と同時進行で、生物多様性の損失が人類の大きな脅威となる」と知事の言葉も掲載されています。
来年度こそは、「建設局の取り組むべき主な課題と対応」に「生物多様性地域戦略」に言及する項目を掲載することを求めますが、いかがですか。
➡公園計画担当部長答弁
これまでも、事業概要には「東京都生物多様性地域戦略」に関する事業を掲載
これまでも、事業概要には「ゼロエミッション東京戦略」に関する事業を掲載していたのではないですか。冒頭の「建設局の取り組むべき主な課題と対応」に掲載されるかどうかに、建設局の姿勢が表れます。
2 アクションプランに掲げられた建設局の取組項目について
Q2 まず、「東京都生物多様性地域戦略アクションプラン2024」に「新規」と掲げられた建設局の取組項目の件数と概要を伺います。
➡公園計画担当部長答弁
件数:3件
概要:ツリーバンクの創設
花や水景等を活かした公園の魅力創出等
様々な主体との連携
Q2-2 3件の内、「花や水景等を活かした公園の魅力創出等」についてはアクションプランの行動方針7 快適で楽しい生活につながる自然の活用(文化的サービス)の、1 地域の自然資源を活かした健康面・教育面などの効用促進の21番目の事業として新規掲載されました。「都立公園リフレッシュプロジェクトとして、花の景観の創出を推進する。」などと記載されています。この「花の景観の創出」について、当然ながら、生物多様性に配慮した選定や管理等がなされるということでよいでしょうか。
➡公園計画担当部長答弁
○「花や水景等を活かした公園の魅力創出等」では、個々の公園が持つ特性を生かしつつ、花の景観を創出し、園路広場等のまとまったエリアをリニューアル
○この取組は、基本戦略「生物多様性の恵みを持続的に利用し、自然の機能を都民生活の向上にいかす」に位置付けられており、この基本戦略とも整合を図りながら事業展開
どの基本戦略に位置付けられても、全体を通して重視されるべきものとして、種の多様性や遺伝子の多様性などがあります。事業委託事業者との地域戦略の共有も含めて適切な対応がなされることを求めます。
Q3 昨年度のアクションプランにおける建設局の取組は、「多様ないきものが生息・生育する都立公園づくり」など公園事業が7項目、道路事業が「緑の拠点をつなぐ街路樹の維持管理」の1項目、「河川・水辺空間の生物多様性に配慮した整備及び緑化推進」など河川事業が2項目の合計10項目でした。これらの主な進捗状況を伺います。
➡企画担当部長答弁
「都立公園の整備・新規開園」については、2023年度に都立公園9haを新規開園
「河川・水辺空間の生物多様性に配慮した整備及び緑化推進」については、2023年度に実施した河川・水辺空間の緑化面積は約1.4ヘクタール
「植物多様性センターにおける絶滅危惧植物の保護・増殖」については、2023年度に伊豆諸島において絶滅危惧植物の生育環境調査を実施、無菌培養などによる希少植物の増殖を実施 などアクションプランに基づき着実に実施
Q3-2 アクションプランは指標項目について目標を掲げています。基本戦略1については48ページに掲載されていますが、「都立公園の新規開園面積」は2030年度 累計2,168ha (2020年度から130ha新規開園)とあります。平均すれば、毎年13haの新規開園が必要となります。毎年一律ではないとは思いますが、9haでは足りません。
同じく「河川・水辺空間の緑化整備面積」の目標は2030年度 累計17.7haであり、今後7年間で平均すれば毎年1.9haの緑化面積が必要となりますから、やはり1.4haという2023年度実績を「着実に実施」といえるのか疑問です。
いずれも、今後挽回できる見通しはあるのでしょうか。伺います。
➡企画担当部長答弁
○引き続き、アクショプランの目標達成に向け、着実に取組を進めていく
そういう答弁しかできないのかと思います。特に「花や水景等を活かした公園の魅力創出等」については、都立公園リフレッシュプロジェクト10公園の記載も、実績と計画の記載もなく、PDCAサイクルで進めるとしているアクションプランにふさわしくありません。
来年度の更新に向けた検討を求めて、次の質問に進みます。
【4】 都立公園について(生物多様性保全利用計画/バリアフリー日比谷公園プロジェクト)
Q1 生物多様性地域戦略アクションプランにも掲げられている「多様な生きものが生息・生育する都立公園づくり」について、31公園の生物多様性保全利用計画の進捗状況を伺います。
➡公園計画担当部長答弁
○令和5年度までに生物多様性保全利用計画を22公園において策定し、環境整備工事を14公園で完了
○令和6年度には、善福寺公園など4公園について保全利用計画を策定するとともに、砧公園では現在整備工事を実施しており、今後、武蔵野公園など3公園で工事に着手予定
○また、整備工事が完了した水元公園など10公園では、モニタリングを継続して実施
順調に進められているようですが、地元への周知はいかがでしょう。武蔵野公園では、9月に生物多様性保全利用計画のオープンハウスが開催されましたが、どうも他の公園では行われていないようです。ぜひ、積極的な発信をしていただくことを求めます。
Q2 バリアフリー日比谷公園プロジェクトについて質問します。8月に「日比谷公園(大噴水・小音楽堂周辺)の整備内容に関するオープンハウス」が開催されましたが、実際の内容は大噴水に限定したものでした。大噴水と小音楽堂の工事予定を伺います。
➡公園計画担当部長答弁
○大噴水・小音楽堂周辺エリアの再整備工事については、令和6年度から実施することとしており、現在、大噴水の発注手続き中
Q2-2 小音楽堂周辺エリアの再整備工事についても、変わらず今年度実施ということは、遅くても3月に発注するとなると、逆算するとオープンハウスは年内に開催するのでしょうか。
➡公園計画担当部長答弁
○大噴水・小音楽堂周辺エリアの再整備工事については、令和6年度から実施
○小音楽堂周辺エリアの詳細な整備内容がまとまり次第、オープンハウスを実施
8月のオープンハウスで示される予定だった小音楽堂周辺エリアの詳細な整備内容の提示が遅れていることに、ささやかに期待をしているのですが、生物多様性と歴史と文化を尊重した整備内容となることを求めて、次の質問に移ります。
【5】 街路樹について(街路樹台帳データべス化/樹冠被覆率/神宮外苑イチョウ枝折れ)
Q1 「緑の拠点をつなぐ街路樹の維持管理」について
生物多様性地域戦略アクションプラン2023には「夏の強い日差しを遮る緑陰確保に向けた計画的なせん定や、街路樹を対象とした防災診断を実施するとともに、街路樹管理台帳のデータベース化を進め、街路空間に適合したグリーンインフラとしての街路樹管理を迅速かつ効率的に展開する。」とありましたが、今年のアクションプラン2024には後半の「街路樹管理台帳のデータベース化を進め、街路空間に適合したグリーンインフラとしての街路樹管理を迅速かつ効率的に展開する」の部分がなくなっています。
「街路樹管理台帳」の「データベース化」の進捗状況を伺います。
➡公園計画担当部長答弁
○街路樹管理台帳のデータベース化については、令和5年度までに区部において完了
○多摩部のデータベース化は6年度末、島しょ部については7年度末の完了を予定
Q1-2 データベース化が完了したわけではないにもかかわらず、今年度のアクションプランから削除したのは、なぜですか。また、 「街路空間に適合したグリーンインフラとしての街路樹管理を迅速かつ効率的に展開する」という、とても重要な指標も削除されたわけですが、この削除の理由を伺います。
➡公園計画担当部長答弁
○更新の際に修正した。
指標を削除する場合の理由は明確にするべきですし、来年度プランでの復活を強く求めます。
Q2 街路樹の緑陰確保に向けた取組について
都は、東京2020大会を契機に、夏の暑い日差しを遮る木陰を確保するため、樹冠を大きく仕立てる街路樹の計画的な緑陰の拡大と、植樹帯の再整備等に取組んでいる、ということでよろしいでしょうか。
ア 実績について伺います。
➡公園計画担当部長答弁
○夏の強い日差しを遮る緑陰を確保するため、全ての街路樹を対象に、剪定作業に先立ち樹種毎の目標樹形や剪定手法を示した維持管理計画書を作成し、計画的な剪定により樹冠を拡大。
○剪定作業に当たっては、樹木の特性、歩道幅員、地域要望等を踏まえ実施。
実施状況を答弁いただきましたが、実績ではないですね。
イ 樹木の枝葉で覆われた土地の面積割合を示す「樹冠被覆率」が、東京23区で2013年の9.2%から2022年には7.3%まで減ったことが、東京大の研究チームの調査で明らかになったとの新聞報道がありました。用途別で樹冠被覆率の減少幅が最も大きかったのは、民家の庭木が減った一戸建て住宅で、40.6%減、次いで街路樹の減少により道路が21.4%減とのことです。
この結果をどう受け止めますか。伺います。
➡公園計画担当部長答弁
○夏の強い日差しを遮る緑陰を確保するため、全ての街路樹を対象に、剪定作業に先立ち樹種毎の目標樹形や剪定手法を示した維持管理計画書を作成し、計画的な剪定により樹冠を拡大。
○こうした取組を継続し、緑豊かな街路樹を育成。
街路樹の樹冠被覆率が21.4%も削減したという衝撃的なデータをどう受け止めるのかと質問しましたが、答弁ははやり、都の実施状況でした。
都は「樹冠を大きく仕立てる街路樹の計画的な緑陰の拡大」を掲げてはいますが、その実績を把握できていないからです。
ウ 都としても「樹冠被覆率」を指標として導入し、樹冠拡大の現状を適切に把握し進捗を図るべきではありませんか。
➡公園計画担当部長答弁
○これまでも、緑陰を確保するため、街路樹の計画的な剪定により樹冠を拡大。
○都は、緑の多様な機能に着目した「みどり率」を用いて、緑地等の現状や推移を把握。
みどり率を否定はしませんが、芝生も低木も含むみどり率では、「樹冠拡大による緑陰の現状」を把握することはできません。
樹冠被覆率の指標としての導入が必要であることを重ねて求めます。
Q3 最後の質問です。11/6、神宮外苑イチョウ並木の2本の枝4本が折れ、都が原因調査をしていると報道されています。いったい何が起こったのか多くの方が注目していますので、都が把握している状況について伺います。
➡公園計画担当部長答弁
○絵画館前通りのイチョウの枝折れについては、11月6日に確認したため、道路交通に影響がないよう、翌日7日に落枝を撤去
○現在、落枝したイチョウの状況を確認
多くの方が注目していますので、適切で迅速な対応と、適宜の情報発信をお願いします。
以上で質問を終わります。