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ブログを更新★【委員会報告】陳情審査:熱中症対策/特定整備路線 ―11/29環境・建設委員会

 11/29の環境・建設委員会は、第4回定例会提出案件の説明と陳情審査でした。
 陳情の採決結果は以下の通りです。

<環境局>
➊ 熱中症対策を求める意見書の提出に関する陳情(2国への意見書) ➡不採択
*採決態度 採択:共産2 不採択:自民3、都ファ3、公明2、立憲、ミライ、グリーン

➋首都直下地震に備えた抜本的対策を求めることに関する陳情  ➡不採択
*採決態度 採択:共産2、グリーン 不採択:自民3、都ファ3、公明2、立憲、ミライ

<建設局>
➌特定整備路線補助第28・29号線及び放射第2号線の整備事業の見直し等に関する陳情 ➡不採択
*採決態度 採択:共産2、グリーン 不採択:自民3、都ファ3、公明2、立憲、ミライ
➍特定整備路線補助第86号線(赤羽西)の事業計画の中止等に関する陳情 ➡不採択
*採決態度 採択:共産2、グリーン 不採択:自民3、都ファ3、公明2、立憲、ミライ
➎都市計画関係法令等の改善を求める意見書の提出に関する陳情 ➡不採択
*採決態度 採択:共産2、グリーン 不採択:自民3、都ファ3、公明2、立憲、ミライ

委員会の録画はこちら
https://nws.stage.ac/metro-tokyo-stream/arcplayer.html?list=C01_7&id=1&lecno=7

第4回定例会 事前説明資料(請願・陳情含む)
環境局
https://kandoakiko.com/wp/wp-content/uploads/2024/12/1129_kankyou.pdf
建設局
https://kandoakiko.com/wp/wp-content/uploads/2024/12/1129_kensetu.pdf


以下、漢人の発言原稿と答弁骨子(実際の発言とは異なります)

➊熱中症対策を求める意見書の提出に関する陳情

意見表明 熱中症警戒アラートなどの通知と注意喚起は、すでに十分になされているのではないでしょうか。むしろ問題は、それにもかかわらず、熱中症搬送車や死亡者が増えているということであり、注意喚起を増やすことでは対策にならないということです。
 熱中症搬送者の約6割を占めているのは、住居・職場・学校での発症であるという現状に即して、適応対策を強化することこそが必要です。
 約2割を占める職場や学校では、無理な仕事や運動をさせないことや、休む権利を保障する対策が求められています。
さらに、4割が住居での発症で、半数以上が高齢者です。エアコンがない場合や、エアコンがあっても電気代高騰による使用の節約などが原因と考えられます。生活保護世帯への夏季加算の創設や低所得者に対するエアコンの支給なども必須です。
 また、アゼルバイジャン・バグーで開催されたCOP29は会期を延長して24日に閉会しました。今回のCOPの最大の焦点は途上国への気候支援の資金を確保することでしたが、途上国が求める年間1兆ドルに対して、「2035年までに3000億ドルへ」という極めて不十分な合意で終わっています。合意が採択された後、インド代表のライナ氏は「この額は微々たるものだ。この文書では我々全員が直面している課題の深刻さに対処することはできない」と語ったと紹介されています。
熱中症対策など気候変動適応策を語るときには、はるかに過酷な状態にある途上国の現状と資金援助を併せて考えるべきです。政府が、国際的な責任を果たし、途上国の要求に応える十分な対応を行うよう、関係者のみなさんに求めて意見表明を終わります。

➌特定整備路線補助第28・29号線及び放射第2号線の整備事業の見直し等に関する陳情
➍特定整備路線補助第86号線(赤羽西)の事業計画の中止等に関する陳情

 特定整備路線は、2012年に策定された「木密地域不燃化10年プロジェクト」で位置づけられ、現在の防災まちづくり推進計画に引き継がれ、2025年度までに全線整備することが目標となっています。すべての路線が2025年度までを事業期間として認可されています。

 しかし、陳情対象である特定整備路線の今年10月時点での用地取得率を見ると、補助28号線こそ9割を超えたものの、29号線、86号線、放射2号線は5割かそれをわずかに超えた程度です。この2年でもわずかしか進展していません。認可期間を1年残すだけとなった時点でのこの数字は、深刻です。

Q1 陳情対象である4路線で、現在、収用手続き中の件数は何件ですか。

➡用地部長答弁
○ 現在収用手続中の件数は、補助第28 号線で1件

 現状を客観的に見れば、2025年度までの事業完了は絶望的と思われます。事業認可の期限が目前に迫り、用地取得が順調に進まない中で、『「建設局土地収用制度適用基準」の運用』が改正されました。
 改正後の運用1条では、「任意契約に向けた取り組みを計画的・戦略的に進めること」が強調され、さらに「その取り組みを尽くしても契約合意できず、事業の早期完成のため緊急を要する場合や事業効果の早期発現に支障がある場合等には、建設局土地収用制度適用基準に基づき土地収用法に定める手続きを進めること」が書き加えられました。
 あわせて、特定整備路線に係る用地取得を、「機動的かつ集中的に」進める組織として、機動取得推進課が用地部内に設置されました。

Q2 そこで伺います。この機動取得推進課の対象となるのは「事業効果の早期発現が見込まれる用地」とされていますが、これは具体的にはどういう場合でしょうか。
 また、該当する路線、画地の数を伺います。

➡用地部長答弁
○ 主に特定整備路線において、避難路を兼ねた暫定的な歩行者空間や緊急車両用の仮設通行路など、用地を連担して取得することで事業効果の発現が早期に見込まれる箇所を担当
○ 令和6年4月1日現在、12 路線、95 か所を担当

 「土地収用制度適用基準の運用の改正は、組織改正に伴う規定整備等のほか、関係権利者の生活再建に十分な配慮をしつつ契約合意に向けた取組を尽くすことなどを具体的に明示したもの」というのが、この間の都の見解です。確かに、測量や物件調査に始まって、権利者への移転先の紹介、あっせんまで6項目の具体的な手続きが新たに記載されています。

Q3 それでは伺いますが、これら6つの手続きについては、すべてを完了したのちに収用法の手続きに入るという理解でよいですか。それとも、個々の手続きが不調に終わった場合は、その時点で収用手続きに入ることもありうると考えてよいのですか。

➡用地部長答弁
○ 改正した「『建設局土地収用制度適用基準』の運用」において示した6つの手続は例示であり、任意契約に向けた取組を尽くし、収用手続に移行するかどうかは、個々の状況を踏まえて総合的に判断

 つまり、6つの手続きが全く進まなくても、総合的な判断によって、収用手続きに移行することもあるということが確認されました。

Q4 次に、これまでの収用手続きの実績について、特定整備路線の整備において収用手続きに入った総件数と、そのうち代執行に至った件数を伺います。

➡用地部長答弁
○ 陳情の対象4路線において、収用手続を行った件数は、令和5年度末時点で2件。
○ 2件については、権利者から土地の明渡しを受けている。

 つまり、陳情対象の4路線については、強制代執行は行われていないということですね。
 事業概要の資料によると、2003(平成15)年以降の収用事件の主な争点は、補償金への不満が最も多く、事業反対の場合に収用手続きに入ったケースは決して多くはないようです。これが、今後は大きく増える可能性があるのではないでしょうか。訴訟が終結したタイミングであること、事業認可期間が残すところ1年しかないことなどを考え合わせると、その危惧を強くします。
 「土地収用制度適用基準の運用の改正」は、任意買収を基本とするという考え方自体に変化がないとしても、任意から収用手続きへの移行のプロセス、事務処理の手順を定めたという点では、旧運用の「積極的に土地収用の手続きを進める」という方針を具体化し加速化するための改正であることは明らかです。事業に強い疑問を呈してきた住民に対する挑戦であり、威嚇の意味を持つという陳情者の思いは、根拠がないものではありません。
 そもそも特定整備路線には、力づくで、強制力を背景にまでして事業を進めるだけの必然性、必要性があるのでしょうか。

 特定整備路線は、防災都市づくり推進計画で指定された重点整備地域である不燃化特区に走る都市計画道路であり、延焼遮断機能が整備の最大の眼目です。都市計画道路の第四次事業化計画では、「震災時に特に甚大な被害が想定される整備地域を対象に、市街地の延焼遮断など、防災性の向上を図る都市計画道路」として全路線が優先整備路線に選定されています。
 しかし、まさにこの延焼遮断機能を柱とした特定整備路線の必要性、意義を再検証すべきというのが、陳情趣旨の大きな柱となっています。

 次に、陳情対象となっている4路線を含む重点整備地域それぞれの不燃領域率とその推移を質問しようとしたのですが、担当外の答弁はできないとのことで、都市整備局で調査している重点整備地域における不燃領域率の資料を提供していただきました。
 それによると、2016(平成28)年度と2021(令和3)年度の5年間の推移は、
・補助28号線沿道地区は、66%から75%、
・補助29号線沿道地区は、品川区内で43%から52%、大田区内で40%から51%、
・放射2号線沿道地区は、59%から69%、
・赤羽西補助86号線沿道地区は、49%から56%と、なっています。

 不燃領域率については、防災都市づくり推進計画に次の記載があります。
 ひとつは、「不燃領域率が40%以上の水準に達すると、市街地の延焼が緩やかなものとなり、市街地大火への拡大抑制、避難時間の確保及び消火活動などの有効な展開が図られ、災害時の基礎的安全性が確保される」というのもので、
 また、「不燃領域率が60%以上に達すると、延焼による焼失率は0%に近づき、延焼が抑制されると考えられ、 70%を超えると延焼による焼失率はほぼゼロ」とも記載されています。

 重点整備地域も、またその周囲の整備地域も、ここ10年余の取り組みの中で大幅に不燃領域率が上昇・改善してきています。それは、 広域的な延焼リスクが低下し、焼け止まりのための延焼遮断帯が、災害火災に対する対策としての意義を大きく後退させてきた10年でもあるということです。

Q5 最後に伺います。不燃領域率の高まりの中で延焼リスクが大きく低減されて来ている中で、延焼遮断機能を主たる眼目とした街路事業の必要性は抜本的に見直すべき時期ではないでしょうか、見解を伺います。

➡用地部長答弁
〇特定整備路線は、市街地の延焼を遮断し、避難路や緊急車両の通行路となるなど、都民の生命と財産を守る重要な都市基盤
〇交通開放を行った補助第136号線関原・梅田地区や補助第26号線三宿地区では、沿道の方々から、救急・救命活動や安全な避難路の確保など、防災性が向上したとの評価を頂いている
〇陳情区間において、都はこれまで、関係権利者に丁寧な対応を行いながら用地取得を進め、全ての区間で工事に着手
〇引き続き、地元の理解と協力を得ながら、事業を一層推進

 特定整備路線については、この間、都議会にも繰り返し陳情が出され、また訴訟も続いてきました。訴訟は、いずれも原告である住民側の敗訴で終結したとのことですが、しかし、事業に対する地域の合意、理解が整っているとは、とうてい言い難い状況が続いていると思われます。そしてそれは、事業化にあたっての住民合意の努力や手続きの不十分さに加え、そもそもの事業の必要性が揺らいでいることが深く関わっているのではないでしょうか。
 よほど大がかりに強制的な手法を取らない限り、早期の事業完了を想定することが困難なことは明らかです。一方で、現に少なくない土地を取得し終えていますし、また既に取得された土地が不燃領域率の向上に寄与していることも事実であると思います。そのような中で、事業を全くの白紙に戻すことは現実的でも賢明でもないとしても、取得用地の道路以外での利活用も含め、地域の合意のもとに、まちづくりと防災の取り組みを進める知恵は出せるはずです。
 少なくとも、力づくで土地収用を進めるような方向性は断じて取るべきでないという立場で、各陳情に賛成します。