ブログを更新★【一般質問】第1回定例会で5項目の質問をしました。
2/28の本会議で、4回目の一般質問をしました。
一般質問とは、都政全般について知事に対して行う質問です。都議会では会派によりますが概ね各議員年1回10数分。大会派は他に代表質問がありますが、ひとり会派はできません。
<録画>
https://www.gikai.metro.tokyo.lg.jp/live/video/250228.html?seek=18829
任期最後の質問は次の5項目で行いました。
1.自然再生推進法及び生物多様性地域戦略と都市計画道路小金井2路線について
2.グリーンインフラについて
3.気候危機!緩和策の加速と適応策の強化について
4.パートナーシップ宣誓制度と同性婚・選択的夫婦別姓について
5.大川原化工機事件と警視庁の公益通報制度について
「世界の成長を牽引する都市」
「東京の成長を確固たるものとし、日本を牽引していく」
「世界で一番の都市・東京を実現すべく…より高い成長曲線で東京の未来を描いていく」
これは、新しい基本計画「2050東京戦略(案)」の一節です。この小池都政の高揚感と自信を支えるのは、富の一極集中、インフレや円安に助けられた企業収益の拡大、金融利得の恩恵を受けた富裕層の増加、そしてそれらを背景とした都財政の好転です。
しかし、その対極で、格差や貧困は拡大し、人権と公正への乱暴な攻撃が横行し、切迫した気候危機の中で人間も含めた生物多様性の土台となる水と緑がコンクリートの構造物で深く傷つけられようとしています。
公共事業の嵐や技術革新の競争ではなく、人間社会の豊かな支えあいと自然との共生の中にこそ未来があると確信しています。
こうした視点に立ち、一期目最後の一般質問を行います。
❶ 自然再生推進法及び生物多様性地域戦略と、優先整備路線の都市計画道路小金井2路線について
小金井3・4・1号線、3・4・11号線の建設が予定されている国分寺崖線は、小金井市域だけでも、すでに鉄道や幹線道路、住宅開発により寸断され、湧水を集めて流れる野川は、50年前は生活排水も流れ込み、どぶ川と化していましたが、下水道整備、雨水浸透桝設置、市民によるクリーン作戦などで、清流として蘇りました。
そして2005年には道路予定地を含む地域は、全国で27カ所、都内で唯一の自然再生推進法による「野川第一・第二調節池地区」自然再生協議会が設置され、都、小金井市、市民が連携した復元事業も成果を上げ、生物多様性の劣化をくい止める取り組みが続けられてきました。
いまでは、野川には清流の宝石カワセミが戻り、食物連鎖の頂点の猛禽類も8種確認され、オオタカは近くの雑木林で営巣、繁殖し、道路予定地の上空を舞っています。夜行性のフクロウも、絶滅危惧種のキンランも確認されています。
野川にホタルを蘇らせる取組みも40年近く前から行われ、この数年は200頭を超え、今後、発生地域が広がることが期待されています。
ホタルが自然発生した地域は、道路予定地のすぐ下流です。
都は2023年「生物多様性地域戦略」を策定。生物多様性の劣化をもたらした4つの危機の1番目に「開発などによる人間活動による危機」をあげ、「道路」などにより、生態系のバランスが壊れ、絶滅の危機が生じている、としています。そして生物多様性は人類の存続の基盤であるとの認識から、2030年までに回復軌道に乗せ、反転させる「ネオチャーポジティブ」を掲げました。
まず、「野川第一・第二調節池地区」自然再生協議会の取組みの前と後での、生育・生息生物の「確認種」及び「重要種」の変化を伺います。
➡建設局長(答弁骨子)
〇野川における自然再生協議会でため池などを整備
〇継続してモニタリング
〇植物や魚類などの確認種及び重要種は概ね増加
次に関連地域も含む「野川第一・第二調節池地区」の生物多様性の現状、成果と課題についての見解を伺います。
➡建設局長(答弁骨子)
〇田んぼ等の整備により、草地が主体のエリアに湿地や水辺が創出され、確認種等が概ね増加
〇田植えなどのイベント参加者へのアンケート調査では、植生観察等、環境教育への展開が望まれている
「野川第一・第二調節池地区」は、自然再生協議会の取組みによって、2030年「ネイチャーポジティブ」の先進的地域となっていると思いますが、いかがですか。
➡建設局長(答弁骨子)
〇野川では、自然再生推進法に基づき、野川第一・第二調節池等を事業対象地区とする全体構想を策定
〇これまで自然再生事業に取り組んできている。
「生物多様性地域戦略」でも重視されている国分寺崖線の保全、再生において、「小金井2路線」の事業化は、「ネイチャーポジティブ」に逆行すると思いますが、いかがですか。
➡建設局長(答弁骨子)
〇この2路線は、広域避難場所へのアクセス向上や、生活道路への通過交通抑制による地域の安全性向上等に資する路線
〇今後とも、東京都生物多様性地域戦略を踏まえ、現地の地形状況や周辺の動植物の生息、生育状況等に配慮しつつ検討
小金井3・4・11号線外の「道路概略検討」に記載されている重要種の生育、生息について、工事期間も含む道路事業の影響があれば、その種に対する具体的保全対策を明示すべきと思いますが、いかがですか。
➡建設局長(答弁骨子)
〇これまで、周辺環境に配慮した道路構造の検討を実施
〇昨年12月、周辺地域や地下水への影響等を踏まえた最適な整備案として橋梁案を提示
〇引き続き、必要な保全対策等について検討を進める
小金井3・4・11号線外の「道路概略検討」後のゲンジボタルの自然発生について、今後の調査・対応の予定を伺います。
➡建設局長(答弁骨子)
〇計画道路付近の環境概況調査を実施し令和3年 11 月に調査報告書を取りまとめ
〇計画道路の両側約250メートルの範囲内において昆虫類の調査を行っているが、ゲンジボタルは未確認
〇今後、関係法令に基づき、適切に対応
「新たな整備方針」の策定スケジュールをお示しください。
➡都技監・都市整備局長(答弁骨子)
〇現在、新たな整備方針について、学識経験者による委員会や、都と区市町による検討会を設置し、スケジュールを含め検討中
最後に、「新たな整備方針」において、小金井2路線を、「見直し候補路線」「計画内容再検討路線」とすることを求めます。いかがですか。
➡都技監・都市整備局長(答弁骨子)
〇現行の整備方針では、優先整備路線のほか、「見直し候補路線」「計画内容再検討路線」などを位置付け
〇新たな整備方針における路線の位置付けについては、引き続き、検討会等の場で議論
❷ グリーンインフラを理念とも土台ともした都市政策に大胆に転換することを提案
再開発ビルの前庭のような緑化ではなく、固有の都市施設としての緑の確保、生態系を支え、人と自然の共生の場となるような緑の創出、独立した緑地帯としての街路樹の再生、都市の緑化を「脱炭素」社会に向けた取り組みの重要事業として位置づけることが求められており、グリーンインフラの強化は必須です。
東京グリーンビズにおいて、グリーンインフラは、どのような考え方で位置付けられているか伺います。
➡企画政策局長(答弁骨子)
〇緑を「活かす」取組の中にグリーンインフラを位置づけ、自然が有する機能を豪雨対策等の社会課題の解決に活用
とりわけ喫緊の課題として、巨費を投じたハード対策優先の治水対策を転換していくことが求められます。
豪雨対策におけるグリーンインフラの役割や効果について伺います。
➡都技監・都市整備局長(答弁骨子)
〇豪雨対策では、河川や下水道の整備と併せて、グリーンインフラを含む雨水流出抑制策が有効であり、効果については現在、検証を行っている
❸ 気候危機!緩和策の加速と適応策の強化について
昨年も世界の温室効果ガス排出量は過去最高を更新し、ロサンゼルスの大規模な山火事をはじめ世界中で気候災害が頻発しています。日本でも酷暑が続き、想定外の豪雨や豪雪が起きています。
バリ協定の「1.5℃目標」は危機に瀕し、トランプ大統領のパリ協定離脱で、日本の責任と役割は、ますます大きくなっています。
ところが2月18日に閣議決定されたエネルギー基本計画や地球温暖化対策計画は、「1.5℃目標」に整合するものではありません。
アメリカではトランプ大統領によるパリ協定離脱に際して、24州の知事連合は、「パリ協定の目標達成と気候汚染の削減に向けたアメリカの取り組みを継続する」と宣言しました。日本でも、政府を上回る都道府県の連携した取り組みの強化が必要と考えますが、知事の姿勢を伺います。
➡環境局長(答弁骨子)
〇気候危機は地球規模で対応すべき問題であり、都は、国内の広域都市連携の枠組みに加え、国際的な都市間ネットワークの活用により、都の先進的な取組の共有や共同事業の実施など連携を強化
都は、新築住宅の太陽光発電の義務化や浮体式洋上風力発電の推進など、様々な対策を進めていますが、2030年カーボンハーフの目標には届かないことが危惧されます。CO2削減策のさらなる強化が必要と考えますが、いかがですか。
➡環境局長(答弁骨子)
〇都は、温室効果ガスの新たな削減目標案を提示するとともに、その達成に向け、再エネや省エネ対策について個別の政策目標も新たに掲げるなど拡充
「2050東京戦略(案)」において、2035年までの「温室効果ガス60%以上削減」が示されましたが、IPCCやIEAが求めているのは、「2035年までに世界全体で60%削減」「先進国は85%削減」です。先進国としての責任を果たすもっと高い数値を掲げるべきです。見解を伺います。
➡環境局長(答弁骨子)
〇都が提示した新たな目標案は、国際的に求められる水準も踏まえ、エネルギーの大消費地として更なる削減に取り組む観点で設定
緩和策だけでなく適応策の強化も必要です。
政府は「2030年までに熱中症死亡者数半減」の目標を打ち出しています。
昨年の23区の熱中症死亡者の84%以上が70代以上の高齢者、そのうち9割はエアコンを使わず、2割はエアコンなしです。生活保護世帯の電気代高騰対策が求められており、生活保護問題対策全国会議は、厚労省に「夏季加算創設等を求める要望」を提出しました。
エアコンのない高齢者世帯への現物給付や、政府の対策が取られるまで、都としての生活保護世帯への夏季加算が必要と思いますが、いかがですか。
➡福祉局長(答弁骨子)
〇電気料金等に対する支援は、全国的な課題であり、国の責任において実施すべき
〇都は、生活保護基準について、健康維持管理上必要な場合には、保護開始時等に限らず、冷房器具の購入経費を支給できるよう国に提案要求
酷暑による学校教室の高温化はますます深刻で、エアコンの適切使用だけでは対応できません。断熱性向上の改築計画の前倒しや、最上階教室のピンポイントでの改修を行うべきです。いかがですか。
➡教育長(答弁骨子)
〇都立学校では、断熱性の向上について「省エネ・再エネ東京仕様」により改築等の際に計画的に取組を実施
➍ パートナーシップ宣誓制度と同性婚・選択的夫婦別姓について
小池都政の3つの柱のひとつ・ダイバーシティに基づけば、パートナーシップ宣誓制度は、性的マイノリティのみを対象とするにとどまらず、多様な家族のあり方を包含する制度へと発展していくことが求められます。
既に多くの自治体で先行している、事実婚カップルも対象とし、子どもと親を含むファミリーシップ制度としませんか。伺います。
➡総務局長(答弁骨子)
〇本制度では、受理証明書の特記事項欄に子供の名前を記載可
〇これにより、子供に関する困り事を軽減
〇現行制度は、性的マイノリティを対象とした制度
〇事実婚については、対象としていない
また、ダイバーシティ政策は都政に限定していてはその目的は果たせません。
知事の同性婚と選択的夫婦別姓制度への見解について伺います。
国会での法整備への機運が高まっているなか、小池知事あるいは東京都からの積極的な発信に大いに期待します。
➡総務局長(答弁骨子)
〇同性婚については、国民的な合意が必要
〇国において議論がなされるものと認識
➡生活文化スポーツ局長(答弁骨子)
〇(選択的夫婦別姓について) 都は「都民に生じている不便・不都合を解消する観点から、議論を早急に深め、結論を出すこと」を国に提案要求
❺ 警視庁の公益通報制度について
大川原化工機による国家賠償請求訴訟の最中である2023年秋、警視庁の警察官が3件の公益通報を行いました。しかし数カ月間、調査可否や受理についての連絡はなく、一方で、通報者に氏名や職員番号を教えることを求めるなど、権利擁護に反する対応があったと報道されています。
都の行政組織の公益通報制度の情報はホームページ上に公開されていますが、警視庁だけは要綱等を公開していないのはなぜですか。
➡警視総監(答弁骨子)
〇内部通報処理要綱については、当庁職員であれば容易にアクセスすることができる形としている。
〇引き続き、周知の在り方について、適切なものとなるよう努めていく。
警視庁の要綱では、「速やかに当該通報をした者に対して、当該通報が受付窓口に到達した旨を通知するよう努める」とされていますが、どの程度の期間内に通知することが適切と考えていますか。
➡警視総監(答弁骨子)
〇「速やかに当該通報をした者に対して、当該通報が受付窓口に到達した旨を通知するよう努める」と定めているところ、通報に対しては、個別の内容に応じて適時適切に対応していく。
通報者は不適切な対応を受け、外部通報を行ったと考えられます。現在の通報窓口のあり方に問題があるのではありませんか。見解を伺います。
➡警視総監(答弁骨子)
〇内部通報に関しては、その性質上、個別具体的な通報の有無を前提としてお答えは差し控えさせていただく。
〇当庁としてはこれまで同様、関係法令等に基づき、通報に対して適切に対応していく。
都の要綱では、「通報者の同意が得られない場合、その他確認に支障がある場合」には、通報者の氏名等を確認しないとしていますが、警視庁の要綱では曖昧です。大川原化工機事件で通報者が繰り返し氏名等を聞かれた問題の一因になっていると思われます。より具体的な規定にすべきと考えますが、いかがですか。
➡警視総監(答弁骨子)
〇一般論として通報者の保護を図りつつ、適切な連絡方法を判断する観点等から、可能な限り通報者の氏名等の説明を受ける。
〇通報者が氏名等を明らかにすることを明確に拒否する場合、それ以上お尋ねすることはない。
公益通報制度はその重要性が認識されつつあります。社会の公平性に大きな影響力を持つ警察組織として、公正で客観的な運用を求めます。いかがですか。
➡警視総監(答弁骨子)
〇引き続き、定められた法令に則り、適切に対応していく。
再質問を留保し、答弁を求めます。
再質問
小金井2路線の予定地域は、自然環境の希少性や生物多様性という点でかけがえのないエリアです。道路整備による効果はさまざまな工夫と知恵により代替し、補うことが可能ですが、失われた自然は二度と戻りません。
「野川第一・第二調節池地区」自然再生協議会によるこのエリアの取組の成果と方針をどのように認識しているのか、知事に伺います。
そして、小金井2路線は、「新たな整備方針」において、「見直し候補路線」「計画内容再検討路線」とするべきです。知事の答弁を求めます。
自然再生推進法は議員立法でしたが、小池百合子議員は7人の提案議員の1人でした。そして、野川調節池の再生協議会は小池環境大臣の下でスタートしています。その都内で唯一の、20年かけて再生してきた自然環境を、今度は知事として壊してしまうのでしょうか。
環境政策を先導してきたとも言える小池知事に、英断を求めて再質問を終わります。