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【報告】外環道「陥没事故」現場を視察に行ってきました。

2020.12.6  記・横須賀雪枝

視察後、実篤公園へ

 今日は漢人あきこさんとチェンジ東京!小金井の会のメンバーで東京外かく環状道路(以下、外環)の大深度トンネル工事の真上にある調布市東つつじヶ丘の陥没事故現場を視察に行ってきました。今回案内してくださったのは「政策チーム」のメンバーで、現場近くにお住いの緑の党の宮部さん。

 小金井市からは車で30分弱、京王つつじヶ丘駅から歩いて10分ほどの閑静な住宅街に現場はありました。近くには武者小路実篤の旧宅と記念館があり、国分寺崖線(はけ)の斜面に建てられていて、広い庭は公園になっていて散策することができます。はけと野川でつながっている調布と小金井、とても似ている街並みでした。

<守られているのは住民ではなく陥没した穴>

 陥没現場の防音シートと警備員

 10月18日に最初の陥没が起きたという報道でもよく映されていた場所は「防音」と書かれた覆いで囲まれて、何人もの警備員がいてあまり近づくことができませんでした。陥没箇所はあっというまに埋め戻されているということだったので、もう普通の道路のようになっているのかと思ったらとても厳重に守られていました。住民の安全が守られているというより穴が守られている感じです。埋め戻したというものの家と道路の境のところがまたさらに数センチ下がったとのことで、住民の方々は生きた心地がしないでしょう。そこ以外にも「防音」シートで囲われた箇所が2箇所あり、ここはさらに大きな空洞が11月2日に発見された箇所とのことでした。

 外環は16mの幅のトンネルを2本、シールド工法で深さ40mの大深度に掘ります。地下40mの大深度はトンネルを掘る時に地権者に許可や説明を必要としないということを法律で決めて国が勝手に工事を進めることができるということになっています。すでに調布では1本のトンネルは掘り進められて2本目を今掘っている途中とのことでした。

<現場の住民の方のお話を聞く>

 ご近所の方から現状を聞く

 最初の陥没現場を見ていたら、ちょうど通りかかったご近所の方に「小金井から視察に来ているものです」と伝えたところ、堰を切ったように現状を話してくださいました。

  • 大深度での工事は、工事を始めるという挨拶もないので、9月の10日前後ぐらいに、ちょうどシールドマシンが通過していた頃なんですが、なんだかいつも家が揺れていると感じていたんです。でもどこにも工事現場が見えないのでとても気持ちの悪いものでした。汲んである水が揺れるくらいです。
  • そしていきなり起きた陥没事故。陥没した穴の中には水が溜まっていて、その水の中は正確に測れないので実際の陥没の深さや範囲は正確にわかっていない。だから報道ではかなり小さく報道されていて実際はその倍くらいあるらしい。本当の大きさは発表していないんです。それも住民が問い詰めたら言うけれど、聞かなければ言わない。都合の悪い情報は出さないんです。
  • 被害住民連絡会というのを立ち上げて情報共有をしている。この周辺の方に心的、外的な被害がなかったか調査しているところです。
  • ネクスコは国からは早くやれと言われていて費用がかさむので早く進めたいんですよね。
  • 家は資産価値が下がったというよりも資産価値はゼロになってしまってもう売ることはできませんよ。80代で家を売って介護施設に入る準備をしていた一人暮らしの女性がいたんですが、事故が起きた途端に不動産屋さんが「この話はなかったことに」と家を売ることが不可能になったと聞いている。とても大変なことです。
  • 穴ができたら埋める、空洞ができたら埋める、それだけです。保証も賠償もない。保証してしまったら責任を認めることになるからできないんでしょう。まったく何もしてもらえない。向こうは大深度地下法に守られているんです。裁判にかけても最高裁までいって勝てるかどうか。
  • この工事は円形にシールドマシンで16mくり抜くというかなり特殊な世界的にも画期的な工事らしいです。まだまだ16キロも難工事が残っているんです。とても不安です。

 小金井にも道路問題があることをお話ししたら「聞いています。でも地上はいいですよ。地下は見えないから怖いんです。どうしようもありません」とおっしゃっていました。また、「世田谷や狛江もこれから調査をするそうですが、あんなのかたちだけですよ。車で走りながら音波で見るんですけど1.5mしか見えないそうです。意味がないです」と教えてくださいました。

<外環の工事をこのまま続けさせていいのか>

つつじが丘駅で署名活動をしていた住民の方から教えていただいた地下道路工事の影響とみられる外壁の損傷

 こんな状態になっても国は工事を止めるつもりもなく、謝罪も保証もない。こんなことが許されるのかと実際の現場に行き、住民の方の声を聞いて大変驚いています。天災の方がまだ様々な補償があるのに、法律も住民の味方ではないという恐ろしい事態です。
 2001年に施行されたという大深度地下法、リニアモーターカーも同じような工事になるそうです。被害が出ない補償はありません。

 今日はつつじヶ丘の駅前で三鷹市議の方など「外環ネット」の方々が、外環の中止を求める国土交通大臣宛の署名活動を行なっていたので、そこにも激励とご挨拶にいき、ささやかながら署名させていただきました。
 もう新設道路を増やすばかりの時代ではないということを小金井だけでなく地域と地域のつながりで情報交換しながら協力して活動していく大切さも感じました。