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【委員会報告】「気候変動を踏まえた河川施設のあり方」の策定について―12/15環境・建設委員会

 12/15の環境・建設委員会では、「気候変動を踏まえた河川施設のあり方」の策定についての報告があり、各委員からの質問がありました。漢人の質問と答弁の概要を報告します。

 野川も中小河川の対象10流域に含まれ、今後の予定は「関係機関との協議やパブコメ等を行い、河川整備計画を見直して実施」との答弁でした。
 野川では第3調節池計画を阻止して原っぱを守り、コンクリートをはがして自然護岸を回復した歴史や、雨水浸透桝設置率世界一の実績があることの認識を建設局に求めました。

「気候変動を踏まえた河川施設のあり方」はこちら
https://www.kensetsu.metro.tokyo.lg.jp/kasenbu0217.html

委員会の録画はこちら(漢人は1:33:40から)
https://metro-tokyo.stream.jfit.co.jp/?tpl=play_vod&inquiry_id=889

 


以下、質問原稿と答弁骨子(実際には再質問・再答弁もあります)


Q1 計画の「視点」について

 概要版では「目的と視点」、本体では「検討の方向性」に5つの視点が示されていますが、ここに「生物多様性」の視点がありません。「視点4まちづくりと一体」には「治水機能の確保とともに、川とまちの連続性や親水性への配慮、景観との調和など、まちづくりと一体となった整備手法を設定」とあります。
 単独で、もしくは「視点4」に含むなど、生物多様性地域戦略に基づいた視点が含まれるべきだと思いますが、見解を伺います。

➡河川部長答弁
〇本あり方は、気候変動に伴う風水害リスクの増大に対する将来に向けたさらなる安全・安心の確保のため、都の河川施設整備の方針として、今後めざすべき整備目標や整備手法などを取りまとめたもの
〇生物多様性については、生物多様性地域戦略アクションプランにおいて、河川・水辺空間の生物多様性に配慮した整備及び緑化推進などを位置づけ


Q2 対策強化流域(特に野川流域)について

 中小河川の洪水対策の最後の「今後の進め方」では、「東京都豪雨対策基本方針(改定)令和5(2023)年12月」において対策強化流域に選定された計10流域において優先的に対策を実施とあります。そして、この10流域とは神田川流域、石神井川流域、白子川流域、柳瀬川流域、谷沢川・丸子川流域、野川流域、目黒川流域、呑川流域。渋谷川・古川流域、境川流域と記載されています。
 この概要とスケジュール、特に私の地元でもある野川流域について想定される地域を伺います。

➡河川部長答弁
〇本「あり方」において、浸水被害状況や流水人口などの浸水時に想定される被害の深刻度なども踏まえて評価した結果、野川流域等10流域を抽出し、並行して検討を進めてきた東京都豪雨対策基本方針(改定)において対策強化流域に位置付け
〇今後は、野川流域を含むすべての対策強化流域において、関係機関との協議やパブリックコメント等を実施し、河川整備計画を見直した上で、必要な箇所において対策を実施


Q3 各流域の河川整備計画の見直しと地域戦略アクションプラン

 一問目の質問に対して、生物多様性地域戦略アクションプランにおいて「河川・水辺空間の生物多様性に配慮した整備及び緑化推進」として位置づけられているとの答弁がありました。
 これが、アクションプランのどのような方針の元に掲げられているのかというと、まず「基本戦略Ⅰ 生物多様性の保全と回復を進め、東京の豊かな自然を後世につなぐ」の「行動方針1 地域の生態系や多様な生きものの生息・生育環境の保全」の「エコロジカル・ネットワークの形成」と「市街地における身近なみどりの保全・創出」の2カ所。
 さらに「基本戦略Ⅱ 生物多様性の恵みを持続的に利用し、自然の機能を都民生活の向上にいかす」の「行動方針6 防災・減災等につながる自然の機能の活用」の「防災・減災等に寄与するグリーンインフラの推進」と、「行動方針7 快適で楽しい生活につながる自然の活用」の「地域の自然資源を活かした健康面・教育面などの効用促進」の計4カ所です。
そして、アクションプランの「はじめに」に「アクションプランにおいて、生物多様性に関する都の取り組みを整理し、全庁的な推進体制のもと、PDCAサイクルによる進捗管理を徹底することで、2030年ネイチャーポジティブに向けた取り組みを推進していく」とうたわれています。
 したがって、今後、各流域の河川整備計画の見直しは、地域戦略アクションプランの4つの方針の元でPDCAサイクルによる進捗管理がなされると理解してよろしいですか。

➡河川部長答弁
 河川整備計画については、これまでも河川法に定められている治水・利水・環境の視点を踏まえて、策定・改定。生物多様性地域戦略アクションプランに位置付けている河川・水辺空間の生物多様性に配慮した整備及び緑化推薦については、堤防法面や護岸、管理用通路等の緑化を対象としている。
*再質問を受けて東京都技監・建設局長からも同趣旨の答弁


Q4 野川における生物多様性にかかわる経過~コンクリートをはがして自然護岸に

 河川整備、それも具体的に調節池をめぐって、野川の小金井エリアでは生物多様性とかかわる象徴的な大きな経過が二つもありましたので、この「気候変動を踏まえた河川施設のあり方」の策定にあたって確認しておきたいと思います。
 野川は国分寺市東部の日立製作所中央研究所敷地内を水源として、世田谷区南部の二子玉川で多摩川と合流する全長20.5kmの一級河川です。小金井市内に第一調節池、第二調節池、三鷹市内に大沢調節池があります。1980年代には生活雑排水が垂れ流されて悪臭を放つドブ川となっていた状態から下水道整備とさまざまな市民活動によって清流へと回復させた小金井市民にとってとても思い入れのある川です。
 1989年完成の野川第二調節池においては、護岸工事の際、対岸までコンクリートで固められてしまったことに気付いた市民が猛して反対運動を展開した結果、完成直前に固めたコンクリートをはがして自然護岸に戻したという経緯がありました。当時、私はすでに小金井市民でしたが、野川とは反対の市の北部に住んでいたこともあり、ほとんど関心はありませんでしたが、今となっては、すごい先見の明のある取り組みをしていただいたのだと、先輩市民のみなさんと、当時英断を下された建設局の担当のみなさんに大きな感謝と敬意の思いを持っています。
 この経過について、建設局としての認識を伺います。

➡河川部長答弁
 昭和63(1988)年度末に整備が完了した、野川第二調節池取水堰の対岸については、地域住民と協議を重ね、護岸整備を行ったものと認識


Q5 野川における生物多様性にかかわる経過~第三調節地を凍結して原っぱを保全

 野川においては、1980年代に計画された第三調節池が、住民による反対運動によって計画凍結となり、その後、その予定地であった原っぱが武蔵野公園に編入されたと認識しています。
 そして、現在、この原っぱは生物多様性地域戦略のアクションプランに位置付けられた武蔵野公園生物多様性保全利用計画のもとで、かつての高茎草原の部分的回復に取り組まれようとしていることは、11月の事務事業質疑の際に紹介しました。
 2点質問します。野川第三調節池計画が住民の反対によって凍結となった経過は引き継がれていますか。また、現在、この箇所に調節池の計画はありますか。

➡河川部長答弁
 野川流域河川整備計画については、平成18(2006)年に策定し、その後、平成21(2009)年及び平成29(2017)年に改訂しており、いずれも当該箇所に調節池の位置づけは無い