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【談話】2024年度予算案の発表を受けて

 本日、東京都の2024(令和6)年度予算案が発表されました。今回も過去最大を更新し、約8兆4500億円と大規模予算です。

 詳しくは東京都財務局のサイトをご覧ください。「予算案の概要」「予算案説明資料<図解>」などが掲載されています。
https://www.zaimu.metro.tokyo.lg.jp/zaisei/yosan/r6.html

 2/20(火)開会予定の都議会第1回定例会で審査されます。予算案の採決が行われる最終本会議は、3/28(木)の予定です。予算案は、このために設置される予算特別委員会と、各常任委員会の所管に分割して付託されます。私は、環境・建設委員会なので、環境局と建設局の予算を審査します。

 本日、グリーンな東京として以下の談話を発表しました。


 

【談話】2024年度予算案の発表を受けて

2024.1.26
グリーンな東京 幹事長 漢人あきこ

◆過去最大を更新し8兆4,000億円超 ―本気の「再分配」と恒常的なあり方の再構築を
 都税収入は企業収益増により今年度予算を1,000億円程上回る約6兆3,000億円を見込み、一般会計の歳出総額は8兆4,000億円超、特別会計等を加えた全会計の合計は16兆4,000億円台の提案です。
 一部の企業や富裕層が株価バブルや国家財政のてこ入れにも支えられて増収増益の恩恵にあずかったことを背景として税収は増えました。一方で、4年におよぶ「コロナ禍」に加え物価高、エネルギー高騰により、医療・生活保障の脆弱さは一層深刻さを増し、恒常的なあり方の再構築が求められています。ケア労働者への住宅支援が計上されていますが、踏み込みが足らず、焼け石に水と言わざるをえません。

◆気候と生物多様性の危機に逆行する前時代的な都市整備と、問われる東京グリーンビズ
 超高層ビルや道路建設を優先する都市整備・開発事業が大きな予算を伴って進められています。親しまれてきた貴重な都市の自然を破壊することなく、農地・緑地の保全、大型自然公園の確保、緑のネットワークの形成、自然型河川、グリーンインフラの整備・拡大など気候と生物多様性という大きな危機を乗り越えていくためのまちづくりへと大転換を図ることが求められています。
 昨年春、生物多様性地域戦略が策定され、夏にはグリーンビズが始動しましたが、本格実施予算は期待外れです。特に細やかに打ち出されたグリーンインフラの思想が都市計画を洗い直す力となるのか、従来型の強靭化や都心再開発の添え物程度のグリーンウォオッシュとなるのか注目です。
 地元市民の民意に反し自然環境を破壊する小金井2路線をはじめ、各地で大きな係争ともなっている都市計画道路事業、神宮外苑再開発など都心の緑地・公園事業の検証・見直しは都政の大きな課題です。

◆こども基本条例に基づき、誰一人取り残さず、格差のない、「質」重視の取組みを
 高等学校・都立大学等の授業料完全無償化は歓迎しますが、学校給食費は子どものための無償化ではなく保護者負担の軽減のための2分の1補助となり、多摩地域の子どもたちへの格差が危惧されます。長年の懸案である朝鮮学校運営費補助金を復活するなど、「全てのこどもが誰一人取り残されることなく、将来への希望を持って、伸び伸びと健やかに育っていく環境を整備していかなければならない」と掲げるこども基本条例に基づく施策を求めます。また、保育や教育の基本的な質を高めるような子育て子育ち環境の着実な改善への取り組みは依然として不十分です。

◆東京電力の再生可能エネルギー義務化、エネルギー貧困世帯への対策を急ぐべき
 COP28では、パリ協定の「1.5℃目標」達成の実効性が極めて不十分な現状が指摘され、2030年までの再エネ3倍などが目標となりました。にもかかわらず、2030年までのCO2削減にほとんど結びつかない水素事業の予算倍増は問題です。2030年までに現在の3倍の再エネ利用60%以上をめざし、都内電力供給の約60%を占める東京電力の再エネ促進義務化などを急ぐべきです。
 他方で、賃貸住宅に住む低所得者層は、電気・ガス代の高騰による負担増に直撃され、今後もカーボンプライシングによる価格高騰が予想されています。「エネルギー貧困世帯」への支援が、ますます重要です。この点では、都の政策対応は不十分です。福祉と連携したエネルギー貧困世帯問題の解決への政策を早急に具体化すべきであり、そのための予算措置が必要不可欠となっています。

 以上の課題を中心に、PFAS汚染、ジェンダー平等、人権、平和などの施策を重視し、「人に寄りそうグリーンな東京」の実現に向けて、予算審査に臨みます。