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【報告】太田啓子さんのお話会「男らしさから」自由になるために

報告:岡田ちひろ(5/30お話会&6/5振り返りお話会)

太田啓子さんのお話会「男らしさから」自由になるために

2021 年 5 月 30 日(日)10:00-12:00
小金井市商工会館 2 階 & Zoomミーティング

女性問題は男性問題?!問題の根っこはどこで芽生えてどう膨らむのでしょう。子ども時代の環境や家庭内のちょっとした言動がその芽になっているとしたら、その段階からなんとかしないとジェンダーギャップ 120 位の不名誉は解消できないのではないでしょうか。ふたりの男の子の母でもある太田啓子さんは、そんな本を書いてくれました。「男らしさ」から自由になるためにみんなで考えようという時間、聞き手は漢人あきこさんでした。

 

太田啓子さん
性差別・性暴力を社会から無くすためにさまざまな問題と向き合ってきた弁護士。主に離婚、セクシャルハラスメント、性被害などの案件を手がける。国際基督教大学卒業。明日の自由を守る若手弁護士の会(あすわか)メンバー。「憲法カフェ」を各地で開催。12 歳、8 歳の 2 人の男の子の母

 

会場の太田さんと漢人さんのお話を、会場参加者とオンラインミーティングシステム Zoom 参加者で聞くという予定だったのですが、太田さんのご家族が体調を崩されてしまい、急遽、太田さんはご自宅から Zoom でお話していただくことに変更となりました。ご家族のご心配な状況でもお話戴いた太田さんの責任感に感謝しつつ、オンラインミーティングの準備のおかげで、このようにやり方を切り替えながらもお話会ができるようになったのは、コロナ禍に置ける変化の産物です。

太田さんからご用意いただいたプレゼン資料(子育ての日常風景で感じる問題、日本の性差別構造、これからの男の子たちへのメッセージ、おすすめの書籍など)と、他国や企業のジェンダー意識変化の流れがわかる動画を見ながらお話が広がっていきました。会場のゲスト&サブスピーカ3 名のお話しも挟み、参加者からの質問や感想をいただき、共有しました。

〇ゲストスピーカー 
「これからの男の子たちへ」で太田さんと対談された星野俊樹さん —太田さんのお話をさらに分かりやすくしていただくような補足をいただきました。ご来場ありがとうございました。
〇サブスピーカー 
今企画のチラシデザインを担当した岡田ちひろ
チラシ裏面にコメントを寄せた小山剛さん

  

参加者の感想 ( アンケートより)

  • 女性たちが日常的に感じている嫌悪感や違和感を言葉にして変えていくことを提唱されているのは社会を変える力になると思いました。
  • 気づいてみると色んな切り口でマジョリティ・マイノリティが存在するんだなあと感じています。
  • 否定してきたにも関わらず、自分の中にもある偏見に気づきました。
  • かなり色々な本を読んで、ある程度知識があるつもりでいましたが、新たな課題、視点の発見があり、本当に勉強になりました。本を友人に勧めていますが、引き続き仕事場の学校でも広めていきます。太田先生の講演をぜひ子ども達にもやって欲しいです。親が興味を持たなくて、学びの機会を逃している場合があります。
  • 日本社会に対して自分が感じている違和感について、同じように思っている人がいることを実感できました。 今回のお話で、違和感についてより分析することができました。 マジョリティとマイノリティのお話で「マジョリティ側は問題が見えづらいことを自覚しなければいけない」とありましたが、本当にそう思います。
  • 講演は体験を交えながら、多くの資料も提示され、具体的でわかりやすく、理解を深めることができました。試行錯誤なども率直に語られ、示唆に富んだ展開でした。日常生活など身近で考えさせれる問題提起にも共感しました。ご本を読んだ以上に伝わってくるものがありました。お子様が体調がすぐれず、ご心配のなかで、講演をしてくださったこと、その責任感やお心に感謝いたします。
  • 弁護士という立場からの視点も交え、男の子に対しての世の中のバイアスがすごく強くかかっていると感じた。親や教師の何気ない発言がバイアスを更に加速しているとも感じる。それを取っ払うには、まず学習し、考え、伝えていくことから。自分は教師でもあるので、取り組んでいきたいと思います!
    男性がフェミニズムを語るときの語り方、伝え方をここ最近考えています。「男もつらい』から『男がつらい』ということを男性同士が語り合える場の必要性を感じています。女性に比べて語るのではなく、また女性の生きづらさに対して対抗言説としてぶつけるのでなく。また男性間の分断もこれかた問題になるなと。フェミニズムについて語る男性に「それ、モテたいからでしょ?」みたいな反論にとほほという気持ちになる。
    男性性を語る主体に多様性が必要。シスヘテロ男性のみならずシスゲイ男性、トランスゲイ男性、トランスヘテロ男性にとっての男性性も語られていくこと。
  • 豊富な資料と分かりやすいお話をありがとうございました。離婚やハラスメントの案件は報酬も低く大変と聞いたことがあります。先生のようにきれいで優秀な方が , めんどくさい加害者たちを相手に熱心に取り組んでいただいていることにまず感謝しました。それから自分のお子さんたちを加害者にしないようにと取り組んでくださっていることにも尊敬いたしました。加害者は「対等」な関係に耐えられないという解釈は本当にその通りだと思いました。また自分が加害的な態度をとったことにも触れられ(私自身もたくさんあり、何か月後かに気が付いてふとんの中で落ち込むことが度々あります)それから人間は変われるものであるといわれていて、力をもらいました。星野先生も男性側からのお話はとても参考になりました。漢人さんもシングルマザーの先輩として尊敬しています。東京のシングルマザーの代表として都議会で活躍してほしいです。

 

会場と Zoom 参加者で記念写真で終了しました。Zoom参加が60名以上あり、会場と合わせて100名近い参加となりました。多くのご参加ありがとうございました。

 


 

「男らしさから自由になるために」を振り返るお話会

2021 年6月5 日(土)17:00-19:00
@チェンジ東京!こがねい事務所
参加人数 9 名

参加者は女性が多かったですが、年齢層は幅広く、若い世代からジェンダーの問題を長く見つめてきた世代まで集まり、パーテーションを挟みディスタンスに気をつけながらの、活発なお話会となりました。


参加者の自己紹介より

★女の子たちの「かわいい!」という価値観が共感できない。キラキラのアクセサリーよりもシルバージュエリーの方が好き。お化粧もしたくない。女性らしくしないとダメ?自分は自分じゃダメなの?(横浜市在住 20 代)

★子どもの頃から「女のくせに」「女はダメだ」と言われてきた。国家資格をとっても就職では女は必要とされない。なぜなんだと問いかけた教師の答えは「女は信用されないから」。結婚出産以降はさらにジェンダーの不平等から逃れられない。パートナーへの落胆。しかし、これは「社会構造のせいだと」と気づく。知っていくこと、ジェンダーの不平等を学んでいくことで、落胆からくる憎しみから逃れることができた。(小金井市在住 60 代)


「結婚と出産以降は不平等から逃れられない」

参加者それぞれ育ってきた過程や学校、職場ではジェンダーの不平等を深く感じなかったという方も「結婚と出産以降は不平等から逃れられない」
例えば
→パートナーの育ってきた価値観が露呈。勝ってなんぼ、我慢する耐力を子に特に男児に求める。
離婚事件 DV. モラハラ夫の共通する特徴は『対等が嫌、「上」にいたい、支配したい。』(太田さん講話より)
→「男たるもの」を怒らせると自分が消耗する。そして話し合いを諦めてしまう。
→いくら夫婦が平等でいようと頑張っても社会構造がこれを許さない。
→女性の不利益が男性の負担を重くしている。男女不平等は誰も幸せにしない。
→見えづらい男の子の苦しみ。男の子らしさに嵌らない子の苦しみ、嵌る子の苦しみ。
→自分自身の育ちから刷り込まれた思想が感情とともに湧き出すことがある。
 学んできた知識のおかげで冷静に自分の感情を見つめら、振る舞いをただせる。


「マジョリティとマイノリティ」

◆マジョリティには、「それが普通」だから気がつかない。
→特権を持っていることを自覚し性差別、性暴力に積極的に抗ってほしい。あらゆる差別問題については、自分がマジョリティである時ほどその問題が見えづらいことの自覚が必要。(太田さん講話より)

◆マイノリティは「様々な違和感」を感じる。
→突き詰めれば一人一人が自分というマイノリティである。自身がマイノリティであると気がついた時に他の立場のマイノリティに心寄せることができるのではないか。マイノリティ同士が苦しみを想像し共感してつながり合うこと。こうやって集まった声を発信していくことが政治家の役目。
今、経済界も変わり始めている。経済成長、労働環境向上の鍵の一つはダイバーシティ(多様性)。多様性こそが今の社会の強みとなり問題解決や成長を促せる。


話題に上がった「ワード」

「夫婦別性」「実印の苗字」(女性は苗字を入れなくてもいいんじゃない?え?男性も入れなくてもいいんじゃない?)「男女混合名簿」「ハーヴェイ . ミルク」(元サンフランシスコ市議)「韓国の女性蔑視」

 

漢人さんの結びの言葉
—市議時代はジェンダーという言葉を出すことだけでも反発をあらわにされることもありました。時を経て、今回、1人区の都議選にむけた政策として「ジェンダー平等 人権と共生の社会へ」を掲げることができる日が来たことに時代が変わっていく中にあることを強く感じます。今日のように、ジェンダー平等をめぐって思うことを発した言葉を集めて発信していくことも、政治の役割だと思っています。—

思いを言葉にして声を上げていくことが大事だし、それを集めて政策にしていく人を議会に送り出したいと強く思いました。