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【談話】東京2020大会1周年にあたって~情報を隠ぺいし、検証を困難にする東京オリパラ組織委員会の解散に抗議します

【談話】東京2020大会1周年にあたって
情報を隠ぺいし、検証を困難にする東京オリパラ組織委員会の解散に抗議します

2022.7.22
グリーンな東京 漢人あきこ

 東京オリンピック・パラリンピック大会の開会から1年、東京都は7月23日の1周年記念セレモニーをはじめとした記念事業を開催しようとしています。
 ところが一方で、東京オリンピック・パラリンピック組織委員会が6月30日に解散し、大会経費を含めて、オリパラがもたらした功罪を検証することは大変困難になりました。

 解散に先立つ6月21日に公表された公式報告書は、説明責任を果たすことなく、自己正当化に終始しました。森喜朗前会長の女性蔑視発言などについて、「組織委員会がジェンダー平等や多様性と調和の重要性を再認識する契機となっただけでなく、日本社会全体の議論を活発化させることになった」としています。不祥事を真摯に反省するのではなく、まるで功績であるかのようにすり替える姿勢は、歴史の改ざんとも言うべきものです。
 招致の際に掲げた「復興五輪」の理念が見せかけに過ぎなかったことへの総括もありません。また、1年延期を経てもなお、新型コロナ感染が収まらず、強い反対の声を押し切る形で開催を強行したことが適切だったのかについても、誠実な反省は見られません。バッハ会長の発言に象徴されるIOC(国際オリンピック委員会)の独善的な体質への批判も見当たりません。

 大会経費は総額1兆4238億円にのぼり、招致段階で公表された7340億円から倍増しました。会計検査院は、暑さ対策や道路整備費などの関連経費を合わせると3兆円を超えると指摘しています。さらに今後、五輪開催のために整備した競技場などのインフラの赤字が続くことになります。「簡素なオリパラ」の謳い文句はまったくの嘘でした。こうした大会経費の徹底した検証の前には、高い壁が立ちふさがっています。経費のうち45%と最も多くを占める組織委員会が、6月30日の解散に伴い、早々にホームページを閉鎖してしまったことは理解できません。アーカイブを閲覧できるようにすべきです。
 組織委員会は公益財団法人のため、情報公開制度の対象外で、経費の全体像の解明が困難です。東京都は2020年3月に関連文書の適切な保存、継承を目指した条例を制定しましたが、強制力はなく、要請に留まります。「アーカイブ資産」として活用できる関連文書の対象に、契約書などの重要文書が含まれる見通しはありません。また、組織委員会は清算人が保存する文書について、「契約相手などの事業情報や個人情報などが含まれるほか、守秘義務との関係もあるため、一般の閲覧は難しい」(7月7日、毎日)としており、第三者による文書へのアクセスは不可能です。
 6月30日の「オリンピック災害おことわり連絡会」の申し入れにおいて、都オリパラ調整部は、都として「公開に馴染まないもの以外」は開示すると表明しました。しかし、その開示基準は恣意的と言わざるをえません。
 そもそも、経費全体を包括的にチェックできる監査機関が存在しません。このままでは、検証が不可能なまま、莫大な税金が投入されたイベントがブラックボックスに入る可能性が高いのです。
 組織委員会解散を受けた清算人(武藤敏郎氏ら4人)や事務局、東京都は、今からでも議事録や帳票等を含むすべての文書類を保存し、市民への積極的な情報公開の態勢を整えるべきです。また、独立した第三者機関による検証の機会を確保すべきです。こうした取り組みを検討することなく、1周年記念事業を開催し、ましてや札幌冬季五輪の招致に動くべきではありません。

 組織委員会の解散に抗議すると同時に、オリパラ東京大会を誘致し、コロナ禍で実施を強行した東京都に対して、すべての情報を開示し、検証し、説明責任を果たすことを求めます。都議会としての検証も厳格に行われることを求めます。

 

<参照>
AOKI幹部「五輪で高橋さんの力借りたい」…組織委理事による便宜期待、前会長へメール
https://www.yomiuri.co.jp/national/20220720-OYT1T50371/

東京五輪組織委元理事、4500万円受領か スポンサーAOKIから
https://www.asahi.com/articles/ASQ7N6RTXQ7NUTIL045.html