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【要望書】「関東大震災における朝鮮人虐殺」についての要望書

 本日、小池都知事と浜教育長に対して「関東大震災における朝鮮人虐殺」についての要望書を提出しました。担当の建設局公園緑地部の管理課長(式典担当)および教育庁指導部主任指導主事(人権教育担当)に渡しました。
 知事が今年も送付しないのは、「大法要で犠牲者すべてに哀悼の意を表しているので、個々の行事への送付は行わない」という例年と同様の理由だとのことです。

 


 

2022年8月23日

東京都都知事 小池百合子 様
東京都教育長 浜 佳葉子 様

    東京都議会「グリーンな東京」
幹事長 漢人あきこ


「関東大震災における朝鮮人虐殺」についての要望書


 1923年9月1日の関東大震災から今年は99年を迎えます。
 関東大震災において日本人による朝鮮人への虐殺行為が行われたことはさまざまな記録、証言、調査によって明らかです。内閣府中央防災会議の報告書では、その背景に「民族的な差別意識」などがあったと、重大な指摘をしています。朝鮮人の犠牲は自然災害による犠牲と一般化できるものではありません。
 1974年以降、歴代の東京都知事は、毎年9月1日に東京都墨田区の都立横網町公園で開かれる関東大震災朝鮮人犠牲者追悼式典へ「追悼文」を寄せてきました。小池知事も就任の年には「多くの在日朝鮮人の方々が、言われのない被害を受け、犠牲になられたという事件は、わが国の歴史の中でもまれに見る、誠に痛ましい出来事」などとする文を主催者に送っています。
 しかし、小池知事は、2017年以降、送付を取りやめています。
 昨年、「グリーンな東京」は、「9月1日関東大震災における朝鮮人犠牲者」への追悼の意を表明することを求める要望書を小池都知事に提出しましたが、昨年も追悼式典へ「追悼文」は送られませんでした。
 今年も8月1日に追悼式典実行委員会が式典への追悼文を送ることを小池知事に要請しましたが、「送付しない」旨の回答がされています。

 小池知事が追悼文を送ることをやめた2017年以降、「追悼式典」の隣接地で行われるようになった集会では、朝鮮人を貶め、傷つける差別的な演説がされています。その言動について、「東京都オリンピック憲章にうたわれる人権尊重の理念の実現を目指す条例」が設置する審査会はヘイトスピーチにあたると認定しました。関東大震災から100年近くたった今も、公然とヘイトスピーチが行われていることを東京都は深刻に受け止めるべきです。「追悼文」送付を取りやめたことが、差別意識を助長したことも明らかです。
 2016年施行の「本邦外出身者に対する不当な差別的言動の解消に向けた取組の推進に関する法律(ヘイトスピーチ解消法)」では、国と地方自治体に対し、相談体制の整備、人権教育の充実、啓発活動の実施などを定めています。小池都知事は「関東大震災における朝鮮人虐殺」に向き合い、語り継ぎ、共生社会の実現に向け、ヘイトスピーチを許さず、差別の解消、人権教育など進めていくことが求められています。

 小池都知事の「追悼文」の送付取りやめは、歴史的事実を覆い隠し、差別意識を助長し、東京都がめざす多民族共生の道に逆行するものと言えます。
 今年こそ、都知事はこの姿勢を改め、再考することを望み、99回目の9月1日を迎えるにあたって、以下のことを強く要望します。

  1. 東京都知事は、9月1日「関東大震災における朝鮮人犠牲者」への追悼の意を表明すること
  2. 都立横網町公園(墨田区)で行われる「追悼式典」への「追悼文」を送付すること
  3. 東京都は、「関東大震災における朝鮮人虐殺」について、学校教育や社会教育の場などにおいて、啓発と人権教育を推進すること