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【報告】9/13環境・建設委員会~請願・陳情審査:神宮外苑/日比谷公園/他

 9/13環境・建設委員会では、第二回定例会の議案の説明と6本の請願・陳情審査を行いました。

 注目の神宮外苑、日比谷公園などの審査だったので傍聴者が約30人!コロナ制限もあったので、この2年間ではじめての傍聴者数でした。傍聴者が多いと、よい緊張感が漂います。
 陳情・請願はすべて不採択ではありましたが、傍聴のみなさんから攻めてる感は伝わったとの感想もいただきました。

録画はこちらでご覧になれます。
https://metro-tokyo.stream.jfit.co.jp/?tpl=play_vod&inquiry_id=796


【環境局】
請願資料➡httpshttps://kandoakiko.com/wp/wp-content/uploads/2023/09/kankyoukyokusiryou.pdf

神宮外苑地区の再開発計画の審議に関する請願

 神宮外苑再開発は、単にこの事業のエリアの問題ではなく、東京の緑、樹木、生物多様性をどう守り、未来につなぎ、残していくのかの象徴として、世界的にも注目されています。

 9/7、ユネスコ世界遺産委員会の諮問機関である国際記念物遺跡会議(イコモス)と日本イコモス国内委員会が、神宮外苑再開発に対して「遺産危機警告(ヘリテージアラート)」を出しました。ヘリテージアラートは危機的な状況に置かれた文化遺産に対する警告や、保存、解決策促進のために出されるもので、「世界の他の公園にはない歴史を持つ神宮外苑が、都市再開発によって差し迫った脅威にさらされている」と警告し、事業者や東京都、自治体、国に対し、次の5つを要請しています。

  1. 事業者の三井不動産、明治神宮、日本スポーツ振興センター、伊藤忠商事への要請:神宮外苑の再開発計画を撤回し、国際的企業や宗教法人、スポーツ促進団体として、社会的、倫理的責任を果たすこと
  2. 東京都への要請:高層ビルの建築が市民の公園利用の権利を永遠に奪うものであるという事態を鑑みて、神宮外苑再開発に関する都市計画決定を見直し、環境アセスメントの再審を行うこと
  3. 明治神宮への要請:神宮外苑が市民からの寄付と奉仕活動によって作られ、「美しい公園として永遠に維持する」という約束のもとに奉献された歴史を考慮して、再開発事業から速やかに撤退すること
  4. 港区、新宿区、渋谷区への要請:未来の世代のために、神宮外苑を名勝指定するための取り組みを行うこと
  5. 国への要請:神宮外苑再開発を東京だけの問題と見なさず介入すること

 都は、この警告を真摯に受け止め、対応すべきです。都市計画決定の見直しについては都市整備局の所管のため、環境アセスメントの再審について質問しました。
答弁は
〇 環境アセスメントについて、都は条例や答申に従って適切に手続きを実施
〇 本事業の環境影響評価手続は、評価書の公示をもって事業段階手続が完了し、現在は事後評価手続を実施
というものでした。

 7月の環境影響評価審議会第5回総会で受理した「事後調査報告書」で報告された、神宮外苑広場(建国記念文庫)及び神宮第二球場周辺の樹木について質問し、2つのエリアの樹高3m以上の樹木本数は263本、うち保存は72本、移植は94本、うち根回しの実施済みは90本、伐採は97本であることを確認しました。

 前日の9/12に、都市整備局長と環境局長の連名で事業者に対して、「神宮外苑地区のまちづくりにおける樹木の保全について」の要を行っていますが、その中で「今月以降伐採に着手する予定とのことです。」「新ラグビー場敷地の既存樹木の伐採に着手する前までに、環境影響評価書で示された検討を行った結果として樹木の保全に関する具体的な見直し案をお示しください。」と書かれています。
*要請はこちら➡ https://www.metro.tokyo.lg.jp/tosei/hodohappyo/press/2023/04/06/14.html
 この要請書は、事業者に対して、97本を含む新ラグビー場敷地の高中木の樹木の伐採に着手する前までに、既存樹木の保全に関する具体的な見直し案を示すよう要請したものであり、事業者に具体的な見直し案の速やかな検討と提示を求めるもの、との答弁がありました。
 この要請によって、樹木伐採は一旦ストップとなっています。

 また、1月に行われたいちょう並木の根茎調査については、今冬、範囲を広げて必要なエリアで地点数を増やすなど徹底して調査時期を実施、報告書の提出時期は来年6月を予定しているとのことでした。

 本請願が求める「工事を進める前に、都が日本イコモス国内委員会と共同で調査し、結果を環境影響評価審議会に報告すること」と「都議会に事業者と日本イコモスの代表を参考人として招致すること」のいずれにも賛成し採択を求めましたが、賛成少数で不採択となりました。

賛成:共産党2、立憲民主党1、ミライ会議1,グリーンな東京1
反対:自民党3,都民ファースト3、公明党2


【建設局】
請願・陳情資料➡https://kandoakiko.com/wp/wp-content/uploads/2023/09/kensetukyokusiryou.pdf

高輪築堤( 第5 ・ 6 街区及び第7 街区) の現地保存等に関する請願

 高輪築堤は日本初の鉄道の開業(明治5年)に際して建造された築堤で、2019(H31)に品川駅改良工事中に石垣の一部が発見され、2021(R3)年に「旧新橋停車場跡及び高輪築堤跡」として国の史跡に追加指定されました。
 環境・建設委員会では請願項目の3つ目の「都と京浜急行に対して、環状4号線と京浜急行連続立体交差事業による工事が高輪築堤の遺構に与える影響について、早急に地域住民及び都民に説明する場を設けること」について審査。漢人は採択を求めて質問しましたが、賛成少数で不採択になりました。

賛成:共産党2、立憲民主党1、ミライ会議1,グリーンな東京1
反対:自民党3,都民ファースト3、公明党2

 

葛西臨海水族園(仮称)整備等事業の事業者決定の手続等に関する請願
葛西臨海水族園の更新に当たり環境影響評価の実施を求めることに関する陳情

 樹木調査については、「現在、樹木医による健全度及び移植困難性の診断を実施中」との答弁でした。新施設の建設予定エリアの1400本の樹林の命運はまだ定まらないということです。都は、1400本の樹林地の伐採や移植が最小限となる計画とするよう事業者を指導することを求めましたが、請願・陳情ともに賛成少数で不採択となりました。

請願
賛成:共産党2,グリーンな東京1
反対:自民党3,都民ファースト3、公明党2、立憲民主党1、ミライ会議1
陳情 *趣旨採択
賛成:共産党2、ミライ会議1,グリーンな東京1
反対:自民党3,都民ファースト3、公明党2、立憲民主党1

 

東武東上線(大山駅付近)の連続立体交差事業に関する陳情

 趣旨採択で採決しましたが、賛成少数で不採択となりました。

賛成:共産党2、グリーンな東京1
反対:自民党3,都民ファースト3、公明党2、立憲民主党1、ミライ会議1

 

日比谷公園の歴史文化の尊重・再生整備計画の保留・文化財としての保存に関する陳情

 日比谷公園再生整備計画の事業計画である「バリアフリー日比谷公園プロジェクト」は、東京都生物多様性地域戦略が4月に策定されてから、最初に作られた都立公園の事業計画であるにもかかわらず、地域戦略を踏まえた内容にはなっていないことを指摘し、その観点からも一旦中断し、再検討すべきと指摘しました。

  • 「芝庭広場」や「大芝生広場」の芝生  従来型の単一の芝生によるものではなく、バッタ類など多様な生き物が生息できる在来野草の混在する芝生地、芝草以外の野草の侵入を許容する管理を検討すべきだと求めました。
  • バラの扱い  すでに工事が始まっている第二花壇のバラの扱いについて注目を集まっています。第二花壇からは撤去するが「移植も含め園内で活用する」ことを確認しました。
  • にれのき広場の伐採  2021年に、公会堂改修工事の資材置き場とするために、にれの木広場の樹木を撤去した件について、樹木医の診断はなく、1本のみ園内に移植し、23本は根腐れのため伐採処分した本数を明確にしました。伐採本数の答弁はなぜか繰り返しの質問でやっと答弁されました。
  • 大噴水  再生整備計画では「視線を阻害しない高さに大噴水を改修する」とされ、整備後のイメージ図では「大噴水」ではなく「噴水広場」と書かれ、外側の30mの水盤はなく、イベント時には水盤のエリアにも人が群れている様子が描かれていることを受けて、歴史的・文化的価値の高い日比谷公園のシンボルである「大噴水」の改修方針を確認。水盤は外側の30mも含めて現状維持、詳細な整備内容は実施設計等において検討、との答弁でした。
  • 思い出ベンチ  202基全て撤去との答弁でしたが、一基15万円、20万円を寄付された方々の厚意や思いを無にするものであり、希望される一定数は残し、ベンチに取り付けてある記念プレートは返却ではなく園内に展示するなどの検討を求めました。

 グランドデザイン、再生整備計画の策定と手続きを踏んできたとはいえ、隣接する内幸町再開発事業という大プロジェクトと一体で、「三井の庭」のような関係で進められてきた背景があり、公園利用者や日比谷公園に思いを寄せるみなさんへの周知や理解を得る過程は軽視されてきたと言わざるを得ません。イベント開催を重視するのではなく、静かな安らぎを得られるようなあり方こそが求められます。
 陳情の願意「都において、日比谷公園の性急な再生整備はせず、一旦中断した上で、時間を掛けて利用者や住民との合意を得ながら、東京の歴史遺産を残すように再検討していただきたい。」に賛同し、採択を求めましたが、賛成少数で不採択となりました。

賛成:共産党2、ミライ会議1,グリーンな東京1
反対:自民党3,都民ファースト3、公明党2、立憲民主党1