【談話】 大川原化工機事件について―謝罪と控訴取り下げを
本日の本会議で、大川原化工機事件の損害賠償訴訟の控訴を、知事が1月に議会を招集しないで決定したことを報告し承認を求める議案「地方自治法第179条第1項の規定に基づき専決処分した検察官が公訴を取り消した刑事事件に係る国家賠償請求事件の控訴提起に関する報告及び承認について」があり、賛成多数で承認されました。
承認に反対したのは、私と、共産党、ミライ会議、維新、生活者ネットの26人でした。
以下の談話を発表(プレスリリース)しました。
【談話】 大川原化工機事件について―謝罪と控訴取り下げを
2024.3.28
グリーンな東京 幹事長 漢人あきこ
本日の都議会第1回定例会において、大川原化工機による国家賠償請求訴訟の地裁敗訴を受けて都が控訴した専決処分が、賛成多数で承認となりました。
グリーンな東京は都は控訴すべきではなく、臨時議会を開催すべきであったとの理由で反対しました。
◆公判直前に突然の公訴取消しをした「えん罪事件」
本事件は、噴霧乾燥機(液体を粉末状に変化させる機械)を販売する大川原化工機の関係者が、必要な許可を得ずに輸出を行ったとして逮捕・起訴されたのち、大川原化工機の無実が明らかになったというものです。その後、大川原化工機側が提起した国家賠償請求訴訟において、大川原化工機側が勝訴し、被告である国と都が控訴を申し立てました。
しかし、本事件の経過と事実関係を省みれば、東京地検や警視庁が捜査・立件の過程において「故意又は過失によって違法に他人に損害を加えた」ことは否定しがたいことです。
◆罪を認めないと出られない「人質司法」
とりわけ、本事件では、大川原化工機側が勾留中に保釈を繰り返し求めたにもかかわらず、裁判所が却下し続け、最終的に11か月にもわたり、3名の身柄が拘束されました。この点は「人質司法」として、強く指弾されているところです。その結果、勾留されていたうちのお一人は刑事訴訟中の2021年2月に亡くなり、他のお二人は、接見禁止命令が出されていたため、葬儀に参列することすらできませんでした。あまりに痛ましく、また許されない人権侵害だと言わざるを得ません。
◆知事は控訴ではなく、人権侵害を謝罪すべき
都による控訴は、専決処分として小池知事が判断したものです。本来は安全や自由を守るべき捜査機関が無実の個人の権利を侵害することは、許されないことであり、知事は、国や都に重大な責任があったとして、控訴をしない判断をすべきでした。
なお、国家賠償請求訴訟の審理対象とはなっていないものの、検察の反対意見を受け入れ、保釈請求を却下し続けた裁判所、抽象的な法規定や警視庁による法解釈の追認によって、不合理な法解釈を許した経済産業省にも、この事件の責任の一端があります。
◆控訴を取り下げ、再発防止にむけた真摯な対応を求める
以上の点を踏まえ、知事の専決処分を承認することに反対し、改めて控訴の取り下げに向けて国との協議に入ることを強く求めます。また、警視庁、東京地検、知事、その他関係機関は、自らの行為が大川原化工機の関係者に対する深刻な人権侵害を起こしたことを自覚し、行政責任のもとで、このような事態に陥った理由を分析・報告しなければなりません。
特に警視庁においては、公安部に捜査指導官を置くこと、幹部の研修を強化することなどの再発防止を実施していますが、それだけでは不十分です。今回のような明確な過ちが発生した原因を具体的に調査し、公表したうえで、再発防止策が検討されるべきです。