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ブログを更新★【報告】「建設局」事務事業質疑 ―11/14環境・建設委員会

都議会では毎年秋、決算特別委員会による前年度の決算審査と、常任委員会での事務事業質疑(各局所管事業全般についての質疑)を行っています。

環境・建設委員会の事務事業質疑から、11/14の「建設局」の漢人の質問と答弁の概要を報告します。

委員会の録画はこちらです(漢人は3:30:00から)。
https://metro-tokyo.stream.jfit.co.jp/?tpl=play_vod&inquiry_id=859

【1】生物多様性地域戦略について
【2】日比谷公園について
【3】はけと野川を壊す都市計画道路小金井2路線について
【4】善福寺川上流調節池(仮称)について

【1】生物多様性地域戦略について

Q1 事業概要「建設局が取り組むべき主な課題と対応」に掲載を
 事業概要の冒頭の「建設局の取り組むべき主な課題と対応」に「生物多様性地域戦略」の記載がない。
 昨年も掲載がなく、「生物多様性地域戦略」に係る内容の掲載を強く要望した。
 今年度の事業概要では、「環境対策への取組」が「建設現場における環境対策への取組」に変わり、「ゼロエミッション東京戦略」について初めて掲載されたが、「生物多様性地域戦略」の記載は皆無。
 来年度こそは、「建設局の取り組むべき主な課題と対応」に「生物多様性地域戦略」に言及する項目を掲載することを再度求める。

➡企画担当部長答弁
 これまでも、事業概要には「生物多様性地域戦略」に関する事業を掲載しており、主な事業として「都立公園の新規開園」などを記載している。

Q2 アクションプランに掲げられた建設局の取組項目の件数と概要
 地域戦略の策定と同時に、地域戦略で掲げる3つの基本戦略を踏まえた、生物多様性の保全・回復と持続可能な利用に資する都の取組と目標を示した「東京都生物多様性地域戦略アクションプラン」が示された。アクションプランにおいて、生物多様性に関する都の取組を整理し、全庁的な推進体制のもと、PDCAサイクルによる進捗管理を徹底することで、2030年ネイチャーポジティブに向けた取組を推進していく、とされている。アクションプランに掲げられた建設局の取組項目の件数と概要を伺う。
 
➡企画担当部長答弁
アクションプランにおける建設局の取組は、「多様ないきものが生息・生育する都立公園づくり」など公園事業が7項目、道路事業が「緑の拠点をつなぐ街路樹の維持管理」の1項目、「河川・水辺空間の生物多様性に配慮した整備及び緑化推進」など河川事業が2項目の合計10項目

Q3 アクションプランの「多様な生きものが生息・生育する都立公園づくり」と「緑の拠点をつなぐ街路樹の維持管理」について
ア)「多様な生きものが生息・生育する都立公園づくり」の31公園
 「都立公園31公園を、生物多様性の拠点として位置付け重点的に環境整備を行い、整備後も生物種のモニタリング等を実施しながら順応的管理を実現し、多様な生きものが安定して生息・生育できる環境を確保する」とされる 31の都立公園の内訳の記載がない。どこかに公表されているのか。

➡公園計画担当部長答弁
31公園は、公表している公園別マネジメントプランにおいて、多様な生物の貴重な生息・生育空間となる都立公園を目標に掲げている。

イ)31公園は、公園別マネジメントプランを全部見ないとわからない、31公園を一覧できるものはないということだ。31公園について、次の項目にあたる公園名を。
①今年度、モニタリングの実施を予定している公園
②今年度、環境整備工事を完了する予定の公園
③今年度、保全利用計画を策定中の公園
④来年度、環境整備工事を予定する公園
⑤来年度、保全利用計画を策定する予定の公園
⑥その他、以上に該当しない公園

➡答弁
令和5年度に
①モニタリングの実施を予定している公園は、石神井、代々木、和田堀、赤塚、水元、猿江恩賜、小山田緑地、東大和、長沼、八国山緑地、狭山、小山内裏、東村山中央の13公園
②環境整備工事が完了する予定の公園は、猿江恩賜、平山城址、狭山、小山内裏、東村山中央の5公園
③保全利用計画を策定する予定の公園は、光が丘、舎人、井の頭恩賜の3公園
④令和6年度に環境整備工事に着手する予定の公園は、砧、小宮、武蔵野、野川の4公園
⑤令和6年度以降に保全利用計画を策定する予定の公園は、善福寺、林試の森、大泉中央、葛西臨海、野山北・六道山、小金井、浅間山、滝山、桜が丘の9公園
⑥保全利用計画を策定し整備工事に向けて調整中の公園は浮間公園

ウ)31公園に指定されていない53の都立公園における地域戦略の取り組みの考え方

➡公園計画担当部長答弁
31公園に指定されていない都立公園では、各公園の特色に応じた希少生物種の保全などを進め、多様な生物の生息・生育空間の確保を推進

Q4 「緑の拠点をつなぐ街路樹の維持管理」について
 アクションプランには「夏の強い日差しを遮る緑陰確保に向けた計画的なせん定や、街路樹を対象とした防災診断を実施するとともに、街路樹管理台帳のデータベース化を進め、街路空間に適合したグリーンインフラとしての街路樹管理を迅速かつ効率的に展開する。」とある。

ア)「緑陰確保に向けた計画的なせん定」とはどのようなものか。

➡公園計画担当部長答弁
歩道幅員が広く樹形を大きく仕立てることが可能な路線を中心に、夏の強い日差しを遮る緑陰を確保するため、樹種毎に目標樹形や剪定手法を示した維持管理計画書を作成し、計画に則った剪定により樹冠を拡大

イ)「街路樹管理台帳」の「データベース化」による項目との完成時期

➡公園計画担当部長答弁
現在、樹木の位置、樹種、樹高、枝張、幹周、診断カルテ等を項目とする街
路樹管理台帳のデータベース化を順次進め、令和7年度目途に完了

ウ)アクションプランの「緑陰確保に向けた計画的なせん定」にはまったく反する強剪定が行われている実態ついて把握しているか。

➡公園計画担当部長答弁
街路樹の剪定作業に当たっては、樹木の特性、歩道幅員、沿道の土地利用、地域要望等を踏まえ実施

エ)沿道の民間開発によって移植・伐採される街路樹の実態を把握しているか。 

➡公園計画担当部長答弁
道路管理者以外が行う工事について、道路管理者の承認が必要。樹木への影響がある場合には、原則として申請者に移植や更新を求めている。

 

【2】日比谷公園について

Q1 1903年開園の日比谷公園は日本最初の西洋風公園であり、時の商業主義とは別次元で保存されるべきで、文化財として保存維持すべき。国指定の名勝としての指定を受けるべき

➡公園計画担当部長答弁
「バリアフリー日比谷公園プロジェクト」に基づき、120年の時代を経て積層した魅力に更に磨きをかけ、すべての来園者及び将来の都民にとってWell-beingとなる公園に進化させていく。

Q2 再生整備工事について
ア)今後の工事スケジュールは、「バリアフリー日比谷公園プロジェクト」に記載の内容から変わっていないとのことなので、今後、エリアごとにオープンハウスによる整備内容の周知や意見募集を行うことになる。第二花壇工事にはついて8月の猛暑の中で周知も不十分な中で行われたが、そのようなことがないように余裕のある日程で行うべき。

➡公園計画担当部長答弁
整備を進めるにあたっては、エリアごとの詳細な整備内容がまとまり次第オープンハウスを実施し、整備内容について情報発信を行い、ご意見を伺う。

イ)第二花壇エリア工事で注目されているバラの行方について
移植対象のバラの本数、第二花壇でのバラの植栽面積と、移植先の面積

➡公園計画担当部長答弁
・約250株
・植栽にあたっては、造園の専門家から1㎡あたり2、3株程度と意見を頂いている。
・これまで植えられていた第二花壇のバラの植栽にあてはめると、面積換算で約100㎡
・移植先の植栽面積は約90㎡

100㎡は計算上の面積。実際の第二花壇でのバラの植栽面積はもっと広かったのではないか。記録はないのか。
バラの植え方などでネット検索して次のようなものが見つかった。
・70㎝以上の間隔が理想。大きく育てる品種は1m以上のスペースを確保できるのが理想
・木立ちバラは株間80cm、つるバラは2mを目安に
・株間を50㎝以上離して植える
・できるなら5~60cmは離したい。横張り樹形のバラならもっと欲しい
・約45㎝ほどの株間で植え、異なる品種間は75㎝から1m開ける
・株間、1mがおすすめ
本日、現地で測ってきたが、実際には1㎡あたり約3.8株。いろんな品種がみんな一緒にほぼ等間隔に植えられている。
現在の移植先の状態は相当な密植であり不適切ではないか。

➡公園計画担当部長答弁
造園の専門家の意見も踏まえ、適切に実施している。

現在の移植場所は、工事車両の通路となるために立ち退きが求められている5号売店のすぐ裏。再移植となるのではないかと危惧される。

➡公園計画担当部長答弁
工事搬入路の位置等は、段階的な整備の中で今後、検討を行っていく。

ウ)18本の高木が、通路の拡大のために移植されようとしているが、回避できると思われるほんの近距離の移動のものもある。見直さないか。
 
➡公園計画担当部長答弁
「バリアフリー日比谷公園プロジェクト」では、樹木の移植が必要となる場合には樹木診断を行った上で公園内で移植することとしており、第二花壇周辺においては、樹木診断の結果を踏まえ、18本について同エリア内で移植を行う。

Q3 再生整備計画~「デッキ」と生物多様性地域戦略について
ア)有楽町側のデッキについて、9/13委員会で部長は「デッキをつなぐ構想は、平成30年12月に策定された日比谷公園グランドデザインの中で公園へのアクセシビリティーを向上させ、憩い、集える空間を創出するために、周辺のまちづくりと連携して、地下やデッキ等で公園とまちをつなぐことなどが提言された。こちらが初めてと認識している」と答弁した。再生整備計画はグランドデザインを受けて策定されたもの。東京ミッドタウン日比谷に接続部が設けられた時期、ビルの完成はいつだったのか。

➡公園計画担当部長答弁
ビルの完成については平成30年2月であると承知している。

イ)デッキ上に作られる「道路上空公園」の内容はいつ、どのように決まるのか。
また、2本のデッキの建設費、維持管理費の負担はどうなっているのか。

➡公園計画担当部長答弁
〇デッキ上部の整備内容については現在、事業者において都と協議しながら基本設計に取り組んでいる。
〇デッキは、民間事業者の費用負担のもと整備、管理されることとなっている。

エ)草地広場や三笠山エリアは、樹木を伐採して芝生広場にする計画。これは「生物多様性地域戦略」に即して見直すべき

➡公園計画担当部長答弁
〇「バリアフリー日比谷公園プロジェクト」に基づき進めていくこととしており、公園の北西部エリアについては、家族連れなど様々な世代の憩いの場となる広場のある空間に再整備する。
〇整備にあたっては、樹木を保全し進め、移植が必要となる場合には樹木診断を行った上で、公園内に移植する。

 

【3】はけと野川を壊す都市計画道路小金井2路線について

Q1 第四次優先整備路線の進捗状況
 第四次事業化計画の策定から今年で8年目、残る期間は2年半となった。第四次事業化計画の優先整備路線のうち事業着手した路線数と着手率

➡道路建設部長答弁 
第四次事業化計画の優先整備路線の着手率は、令和4年度末時点で約3割、建設局では30路線39か所で事業に着手

Q2 小金井2路線は事業化を凍結し中止に向けた調整を
 第三次事業化計画の着手率は10年間で約5割、一方、第四次の着手率はこれまでの7年間で約3割にとどまっている。第四次の計画期間である2025年度(令和7年度)末までに、第三次並みの着手率になるとは思えない。
 小金井2路線のように地元の合意が得られない路線が多くあるからか。道路計画への反対理由は、その地域のコミュニティが壊される問題や、納得していないのに立ち退きを迫られたり、土地の一部を提供させられたり、という地権者の財産や人生設計の問題が大きい。小金井2路線の場合は、地権者のみなさんの問題もあるが、市を挙げての市民の民意として反対意思が示されている背景は「大切な自然環境を守り、次の世代に引き継ぎたい」という思い。道路を作ることによって得られるものと失われるものに対する選択の価値観が大きく変わっている。気候変動や生物多様性の危機が深刻化する状況で、この価値観、小金井の民意が変わることはない。神宮外苑再開発に反対する世論の高まりも同じ。道路事業においても、他の地域でも、同じ傾向に向かうと予測できる。
 環境重視の民意が明確で、道路建設の合意が難しい小金井3・4・1号線及び3・4・11号線ほかは、事業化への手続きを凍結し、中止に向けた調整を始めるべき。

➡道路建設部長答弁 
〇第四次事業化計画の優先整備路線に位置づけられており、武蔵野公園などの広域避難場所へのアクセス向上や生活道路への通過交通抑制による地域の安全性向上に資する重要な路線
〇2路線について、様々な意見があることは承知
〇オープンハウスを開催し、地元の方々の意見を聞くなど、丁寧に対応しながら、事業化に向けて取り組む

Q3 道路構造の検討状況
 小金井3・4・11号線ほかは、「道路概略検討報告書」が昨年12月に納品されてから、もうすぐ1年になる。今年4月情報公開請求したところ、主要な部分はほとんど黒塗り状態での開示だった。その理由を問う文書質問への答弁は「現在、報告書の内容を踏まえ最適案を整理しており、今後、オープンハウスの開催などにより多くの方々に周知していく予定」。その最適案の検討状況と、想定されている今後の予定

➡道路建設部長答弁 
〇環境概況調査の結果等を基に、橋梁、掘り割り、地下等の道路構造形式を比較検討し、昨年末に報告書として取りまとめた
〇現在、報告書の内容を踏まえ、道路構造や自然環境への影響等について関係者と協議、検討中
〇今後、最適案を整理したうえでオープンハウスを開催し、事業化に向けて取り組む

 

【4】善福寺川上流調節池(仮称)について

 時間最大75ミリの降雨に対応するため、杉並区内に延長約5・8㌔の地下トンネル式調節池を築造する善福寺川上流調節池(仮称)計画があり、8月に都市計画素案が地元に示され、説明会を開催。

Q1 想定される調節池の面積、整備される管理棟の概ねの規模
 地上部分に河川管理施設を整備する箇所が原寺分橋(はらてらぶばし)付近、杉並区立関根文化公園内、善福寺川緑地の3か所にある。ここに、深さ約50mの立坑が設置され、あわせて地上部に管理棟や取水・排水施設を整備する計画。
それぞれの都市計画区域のおおよその面積、整備される管理棟の概ねの規模を伺う。
 
➡河川部長答弁
〇個別箇所の面積は、原寺分橋付近が約4,400㎡、関根文化公園が約1,300㎡、善福寺川緑地が約1,600㎡
〇面積は、都市計画決定後の測量等の実施により確定
〇管理棟の規模は、今後の詳細設計により検討

Q2 ECI事業者の公募にあたって示した「参考額」

➡河川部長答弁
対象工事の参考工事費は、1,000億円程度を想定

Q3 今回の計画は公園機能を大きく損なう
 河川管理施設を整備することになる関根文化公園は約2,400㎡で、その半分が調節池の管理施設になる。私も見てきたが、善福寺川沿いのよい公園だ。この公園の西半分は子どもたちのための遊具がまとまって設置されていて、東半分には、立派な高木が何本もある。老若男女を問わず利用の多い公園と聞く。特に最近は子どもたちの利用が大変多いとのこと。
今回の計画は公園機能を大きく損なうことになるのではないか。

➡河川部長答弁
公園としての機能については、今後地元区と協議 
  
Q4 8月の都市計画素案説明会の参加人数、出された意見。任意の説明・話し合い等の実施状況

➡河川部長答弁
〇8/23、24、25、27の計4回、地元の小中学校などで実施
〇参加人数は4日間でのべ159名
〇説明会では、調節池の早期整備の要望や工事の安全性に関する意見など
〇説明会後に、電話や対面で個別に説明を実施

Q5 関根文化公園の縮小・占有のほか、原寺分橋(はらてらぶばし)付近では区道が閉鎖となるが、地元杉並区の了解は得られているのか。

➡河川部長答弁
本計画素案の作成にあたっては、地元区と協議、調整を実施

Q6 都市計画手続きはまだ素案の段階で法定の手続きには入っていない。一方で、すでに調節池の基本設計を終え、10月には詳細設計の発注も済ませたとのこと。両設計の経費、受託事業者名を伺う。

➡河川部長答弁
〇基本設計の当初契約額は1億9379万8000円、受託者はパシフィックコンサルタンツ株式会社
〇詳細設計の当初契約額は5億3215万8000円、受託者はパシフィックコンサルタンツ株式会社

Q7 基本設計、詳細設計は、都市計画素案で示された調節池の位置、構造を前提にしたものか。

➡河川部長答弁
基本設計において調節池の位置や構造等を検討し、都市計画変更素案を作成

Q8 都市計画が決まっていないどころか、まだ案も示されていないにもかかわらず、それを前提とした設計を発注することがなぜ許されるのか。

➡河川部長答弁
〇調節池の整備は、激甚化、頻発化する豪雨に対応するため「TOKYO強靭化プロジェクト」に位置付けている重要な施策
〇特に善福寺川では、溢水による浸水被害が度々発生していることから早期の治水効果の発現のため、都市計画変更の手続きと並行して設計業務等を実施

Q9 受託事業者のパシフィックコンサルタンツは、外環シールドトンネル工事での初歩的な設計ミスで、指名停止措置を受けている。こういう事業者に随意で詳細設計を発注してよいのか。

➡河川部長答弁
契約段階で都の指名停止を受けていない