【報告】玉川上水の管理計画について考えるシンポジウムに参加しました
【法面崩壊についてしっかり検証することが自然保護のカギ?】
9月26日(日)、三鷹駅前の武蔵野芸術劇場にて開催された玉川上水みどりといきもの会議の緊急シンポジウムVol.2「玉川上水管理計画の問題点」をお手伝いしてきました。玉川上水みどりといきもの会議は、多摩地区の玉川上水の生物多様性を守るために長年活動してきた団体を中心に今年の1月に結成された会で、野鳥観察や植物、動物、様々な専門家の方がいます。漢人さんも所属する小金井の「小金井市玉川上水の自然を守る会(こだま)」「はけの自然と文化をまもる会」も団体会員になっています。
玉川上水は東京の郊外から都心へ30キロの緑の帯を形成し、そこには失われてしまった武蔵野の自然が奇跡的に残されています。この自然が近年危機にさらされています。小金井市の区域は桜を守るためという理由でケヤキなどの大木を大伐採、三鷹市区域でも法面を崩壊から守るという理由で人工的な法面の保護と伐採を行おうとしています。今回のシンポジウムではこの「法面崩壊」に焦点を当てて、井の頭自然の会代表の鈴木浩克さんの発表がありました。
鈴木さんは、樹木の伐採が本当に法面保護になるのかということを、367年前の様子から歴史的に検証、完成から16年後には堤を保護するためにすでに松や杉が植えられていたので、昔の姿に戻したいと伐採するのは間違っていると指摘、風致地区になった時にはすでに樹木はあったはずと示した。人々に愛され守られてきた玉川上水だったが昭和40年に通水が停止されてからは水位が下がり、法面が空中に晒されるようになってしまいます。その後、高度成長期、道路化、鉄道化案など暗渠にする計画が出るが市民運動が勃発し、暗渠化は美濃部都知事時代に撤廃され守られました。その後昭和51年に岸辺の雑木林と共に永久保存することで都と国が合意。史跡指定へ繋がります。
【新たな法面保護の問題】
このように守られてきたおかげで玉川上水は武蔵野の自然を守り続けてこられたわけですが、いま三鷹市区域で法面の保護を理由に木を切って合成素材のカバーをかけるという措置が取られています。鈴木さんはこの保護のやり方が間違っていると指摘。斜面に生えた樹木がとてもしっかり根を張り、逆に法面を崩落から守っていることをさまざまな調査をもとに論理的に解き明かしました。
管理をしている東京都の水道局は、本当に木を伐採する管理のやり方で法面の保護ができているのかを検証もしていない。本当に保護できているというならちゃんと検証して証明してほしいと鈴木さんは強く訴えました。
続いて、三鷹市の玉川上水沿いにお住まいで、40年にわたり玉川上水の保護のために活動してこられた東京藝大名誉教授の有賀誠門さんが登壇し長年見つめてこられた玉川上水への想いを語られました。こういう方々に支えられて守られてきたことを強く実感しました。
【市民と議員の連携で保護の加速を】
鈴木さんの話を聞き、小金井市でも桜を守るためだけでなく、「法面の保護」のためという理由で、ケヤキなどが雑木ということで切られてしまいましたが、これも全伐採する必要はなかったわけです。切ったことで逆に法面の崩壊を招くかもしれません。ここはきちんと検証されるべきです。第三回のシンポジウムでは小金井市区域をテーマに取り上げてくれるそうです。
玉川上水の雑木林はとても貴重な都会に残された自然です。この管理について詳しい市民からの声をもっと聞いて豊かな自然を守る管理をしてほしいと思います。先日、この問題に関心を寄せる都議、市議、区議が集まる場があり、都議会に向けても働きかけていこうと話し合いました。議員と市民団体が連携してよりよい動きを作っていけたらと思っています。
【武蔵野市長選初日でした!】
この日は武蔵野市長選挙の初日で、ちょうど三鷹駅北口(ここは武蔵野市)では現職の松下玲子市長の出陣式で多くの人が集まっていました。松下さんと五十嵐えり都議、菅直人さん、松下さんの後援会長の宮子あずささんにもご挨拶し、出陣式が始まってしまいそうだったので、写真は遠くから撮りました。松下さんには武蔵野の緑を守る首長としてもぜひ頑張っていただきたいです。